インテルが巨額投資した「イタリアのポグバ」、ガリアルディーニとは何者か?

2017年01月12日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「インテルへの入団が夢だった」

「好きなタイプの選手」とピオーリ監督(左)からの評価も高いガリアルディーニ(右)。攻守両面での働きが期待される。(C)Getty Images

  ステーファノ・ピオーリ監督就任後、5勝1分け1敗と復調してきたインテルが、チャンピオンズ・リーグ(CL)出場権(3位以内)確保の切り札として1月11日、売り出し中のイタリア代表MFロベルト・ガリアルディーニをアタランタから獲得した。
 
 200万ユーロ(約2億4000万円)で18年6月までのレンタルだが、1年半後に2000万ユーロ(約24億円)での買い取り義務が発生する実質的な完全移籍。ボーナスを含めれば、最大で2800万ユーロ(約33億6000万円)になる。セリエA経験が14試合しかない22歳ということを考えれば、超破格と言っていいだろう。
 
 中盤の強化を目指していたインテルは当初、リバプールのルーカス・レイバとの契約に近づいていると見られていた。だが、若手への投資に固執するオーナーの蘇寧グループの意向により、30歳のブラジル代表よりも22歳の上昇株が優先された格好だ。
 
「夢が叶った。このユニホームを着てサン・シーロのファンの前でプレーするのが待ちきれない」

 そう喜びを語ったガリアルディーニは、"育成の名門"アタランタの下部組織で研鑽を積んだ。トップチームに昇格したのは13年の夏。だが、チャンスは与えられず、その後はセリエBのチェゼーナ、スペツィア、ヴィチェンツァへ武者修行に出された。昨シーズンの冬にアタランタへ復帰した後も出番は少なく、セリエAデビューを飾った最終節のジェノア戦が唯一の出場となった。
 
 ところが、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が就任した今シーズンは、状況が一変する。序盤戦はバックアッパーに甘んじていたものの、7節に初先発を勝ち取ると、11節以降はセントラルMFの定位置を確保。中盤でコンビを組むコートジボワール代表フランク・ケシエや、ユース時代からの同僚であるCBマッティア・カルダーラらとともに、ここまで6位と快進撃を続けるアタランタの牽引車となった。
 
 ガリアルディーニが先発出場した8試合の成績は6勝1分け1敗。逆にスタメンで出なかった試合は5勝1分け5敗で、この数字だけでも躍進を支えていたのは一目瞭然だ。
 
 クラブでの活躍が評価され、11月には故障離脱したクラウディオ・マルキージオに代わる追加招集という形でイタリア代表に初選出。出場機会はなかったとはいえ、ロシア・ワールドカップ予選4節のリヒテンシュタイン戦ではベンチ入りを果たした。
 
 タイプ的には典型的なボックス・トゥ・ボックス型で、攻守にわたって存在感を発揮する。188センチと上背があり、ガスペリーニ監督が「ポール・ポグバのよう」と評したように、テクニックとダイナミズムを併せ持つ。インテンシティーの高いサッカーを要求するピオーリ監督のスタイルには打ってつけだ。
 
 インテルで主戦場となりそうなのは4-2-3-1のダブルボランチ。ライバルとなるジョフレー・コンドグビア、マルセロ・ブロゾビッチ、ジョアン・マリオはいずれも守備に難があり、逆にガリー・メデルは攻撃での貢献度が極端に低い。3日後に控えたセリエA19節のキエーボ戦で、ガリアルディーニがいきなり先発デビューを飾る可能性は小さくない。

「クラブの目標達成のために力を尽くしたい」と抱負を語った"イタリアのポグバ"は、憧れのクラブを6シーズンぶりのCL出場へ導けるか。注目したい。
 
文:ワールドサッカーダイジェスト編集部
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事