【選手権】お手本はOB渡邊凌磨のあの一撃。前橋育英10番の2年生FWがさらなる飛躍へ理想のゴールを追求!

2017年01月11日 松尾祐希

中学3年当時、埼スタで目撃した選手権決勝でのゴールがお手本に。

決勝でもアグレッシブなプレーを見せた飯島(10番)。来季は彼を軸にタイガー軍団の旋風が吹き荒れるか。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

「日本一を取りたいと思って前橋育英に来た」というタイガー軍団の2年生FW・飯島陸。初めての選手権は準優勝で幕を閉じたが、ポテンシャルの高さは十分に示した。
 
 10番を背負う飯島の特徴はセカンドボールに対する嗅覚の良さで、「何となく落ちてくるかなというのが分かる」という勘の鋭さはまさに天賦の才。最前線でコンビを組むFW人見大地(3年)が相手と競り合って近くにボールをこぼすと、真っ先に拾ってチャンスに結び付ける。山田耕介監督も「スースーっていう感じで間に入っていくでしょ(笑)。余計な力が入っていない」とそのプレーを絶賛。また、相手DFの背後を取ることも得意で、素早く裏に抜け出して果敢にシュートを放つ。
 
 1回戦の明徳義塾戦で決めた先制弾は彼らしい得点だった。一瞬の隙を付いてゴール前に飛び出すと右足でシュート。一度はGKに弾かれたが、セカンドボールに素早く反応。左足でゴールにねじ込み、今大会のチーム初得点を決めた。
 
 ただ、本人はまだまだ課題があると話す。自身の武器に関しては、「すっと動いて相手より先に触れれば、自分のボールにできる自信がある」一方で、シュートバリエーションの少なさが弱点だと感じていた。
 
「抜け出しからのシュートが多いので、普通の状態から打つ練習をしている」(飯島)
 
 この1年間は得点パターンを増やすことを意識し、とりわけ切り返しからのシュートを練習で磨いた。飯島が理想とするゴールは、2年前の選手権決勝で同校OBの渡邊凌磨(インゴルシュタットU-23)が決めた一撃だ。左サイドから中央にボールを持ち込んだ渡邊は、キックフェイントで切り返すと右足でシュート。ボールは綺麗な弾道を描いてゴール右隅に吸い込まれた。結果は星稜に逆転負けとなったが、当時中学3年の飯島はそのゴールを現場で目撃。
「渡邊凌磨さんが決勝で決めた切り返しからのシュートを見て、それが有効だなと思った。そこは真似しながらやっている」
 
 埼スタで見たゴールは目に焼き付き、その後は常にお手本にしてきた。今回の選手権で決めることはできなかったが、新たな形をモノにすればさらなる飛躍も夢ではない。
 
 決勝では青森山田を相手に何もさせてもらえず、逆に相手の攻撃陣に決定力の違いを見せ付けられた。
「自分が最初に点を取れる存在になっていきたいですし、チームと自分の力を合わせて、自らの力で勝たせられるようになりたい」
 
 そう誓う男は、パワーアップを図り、1年後に先輩たちが叶えられなかった目標を達成させる。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)

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