【選手権】努力が生んだ5試合連続ゴール。青森山田の10番・高橋壱晟の意識を変えた転機

2017年01月10日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

初戦となった2回戦から決勝までの全5試合で連続ゴール。

前半23分、抑えの利いた見事なシュートを突き刺し、先制点を決める。高橋は喜びを爆発させた。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

[選手権決勝]青森山田 5-0 前橋育英/2017年1月9日/埼玉
 
 埼玉スタジアムで行なわれた第95回全国高校サッカー選手権の決勝戦で、青森山田が圧巻のゴールショーを披露。5-0で前橋育英を下し、初優勝を果たした。
 
 快勝劇の口火を切ったのは、青森山田の10番を背負う高橋壱晟(3年)だった。

【PHOTO】第95回高校サッカー選手権・決勝 青森山田5-0前橋育英

 立ち上がりの青森山田は選手全員の動きは明らかに硬く、前橋育英の素早いパスワークについていくことができていなかった。しかし、その苦しい展開のなかで高橋が魅せる。
 
 前半23分、右サイドでパスを受けた鳴海彰人(3年)がゴール前にクロス。丁寧なクロスは相手DFの頭をかすり、走りこんでいた高橋のもとへと渡った。高橋は柔らかいタッチでボールを止めると、素早く左足を振り抜く。強烈なシュートは相手DFに当たり、ゴールに吸い込まれた。
 
 なんと、これが青森山田の最初のチャンス。高橋は、ようやく巡ってきたシュートチャンスをしっかりとモノにする決定力の高さを見せつけた。
 
「相手がヘディングでクリアするのをしっかり見ながら良いポジションを取れて、あとはシュートを抑えて打つだけでした。チャンスがあったらシュートを振り抜こうと思っていたので、相手に当たってラッキーだったんですけど、良かったです」
 
 運も味方につけた、この得点で青森山田は息を吹き返す。その後、前半終了間際に嵯峨理久(3年)がゴールを決めると、後半には鳴海が立て続けに得点。さらに終盤に佐々木快(3年)が追加点を奪う。チームに落ち着きを取り戻した意味でも、大きな先制点だった。
 
 高橋自身も「先制点を取るまでは少しバタバタしていた。苦しい試合でも先制することで、チームの流れが変わると思うので、うまくできたかなと思います」と振り返った。
 
 初戦となった2回戦から決勝までの全5試合で連続ゴール。MFながら素晴らしい得点力でチームを勝利に導き、今大会のヒーローのひとりになった。
 
 2回戦で決めた今大会でのチームのファーストゴールを皮切りに、3回戦でもチームを勢いに乗せる先制点。さらに、先制後ジリ貧が続いた準々決勝では待望の追加点を挙げ、準決勝では決勝点を決めた。文字通り、チームを救ってみせたのだ。

【PHOTOギャラリー】大会優秀選手|GK・DF編
 

次ページ以前までは「パスを捌いて終わるだけのつまらない選手だった」。

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