【選手権】前橋育英を4強に導いた「3年生の意地」。息もつかせぬ猛攻で滝川二を圧倒

2017年01月05日 安藤隆人

「1点を獲っても2点目が重要」。チームの意識は統一されていた。

長澤(6番)と人見(24番)のPKで2得点。前橋育英が滝川二を下した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[選手権準々決勝]前橋育英 2-0 滝川二/2017年1月5日/フクアリ
 
 名門同士の対決は前橋育英が終始、滝川二を圧倒し、2−0の勝利を収め、準決勝進出を決めた。
 
「2年生は多いけど、3年生の意地は大きい。今日は3年生が頑張りました」
 
 キャプテンの大塚諒が胸を張ったように、今日の試合のMVPは3年生全員だった。
 
 立ち上がりから大塚と長澤昴輝の3年生2ボランチが攻守に渡って存在感を発揮し、前線ではFW人見大地が抜群のポストプレーを披露。左サイドでは高沢颯が得意のドリブルで果敢に仕掛けた。
 
 守っては出場停止の2年生CB角田涼太朗の代わりにスタメン出場を果たしたCB小山翔が、2年生CB松田陸とスムーズな連係を見せた。また、GK月田啓が安定感抜群のセービングを披露。前半12分には滝川二FW溝田大輝の抜け出しに反応してブロックするなど、相手に隙を与えなかった。
 
 なかでも、2ボランチの大塚と長澤の存在感は絶大だった。豊富な運動量と、絶妙な意思疎通から、チャレンジ&カバーを繰り返し、滝川二のアタッカー陣の侵入を未然に防ぐ。そして、果敢に前線に飛び出し、FW人見のポストプレーをフォローしてゴールに迫った。
 
 前半22分、ロングフィードをペナルティエリア左側の位置で人見がヘッドで落とすと、相手DFの間をすり抜けて来た長澤が、トラップからシュートを狙う。この瞬間、相手DFに倒されたことで、前橋育英にPKがもたらされた。これを長澤が自らきっちりと決めた。
 
 3年生の連係で奪った先制点。その後も滝川二に息もつかせぬ猛攻を仕掛ける。「前もってミーティングで『1点を獲っても2点目が重要だ』という話をしていたので、みんなが追加点を意識していた。2点目はどうしても獲りたかった。執念でした」と、大塚が語ったように、度重なるチャンスを決めきれず、焦れる時間が続いても、ゴールを狙い続ける姿勢だけは貫き続けた。
 
 後半30分には大塚が自陣深くでボールを奪うと、縦に展開し、そこから猛然とダッシュ。60メートル近く激しくスプリントし、左サイドでラストパスを受けて「切り返して逆サイドを狙った」と、鮮やかな切り返しから右足シュートを放つ。これは僅かに右ポストの横を通過し、「技術が無いんです」と本人は笑ったが、キャプテン自らが終盤の猛ダッシュで見せた気迫は、チームの背中を大きく押した。

次ページ2-0の完勝劇は、まさに「3年生の執念」(大塚)だった。

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