【選手権】青森山田、20日間で5千キロ超のバス移動。順当すぎる勝ち上がりの裏に黒田監督の絶妙なマネジメント

2017年01月05日 小林健志

「コンディション的に最悪な状況で選手権合宿をスタートさせた」

今大会4ゴール目となる鳴海が先制点。青森山田が実力を見せつけ、ベスト4進出を決めた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[選手権準々決勝] 青森山田 3-1 正智深谷/2017年1月5日/等々力陸上競技場
 
 高円宮杯チャンピオンシップを制し、高校ユース年代日本一に輝いた青森山田は、第95回全国高校サッカー選手権大会も優勝候補の筆頭に挙げられる存在だ。初戦の2回戦は鵬翔(宮崎)を相手に5-0、3回戦は同じ東北勢の聖和学園(宮城)に5-0と完勝。そして等々力陸上競技場で行なわれた準々決勝・第2試合の正智深谷(埼玉)戦も盤石の強さを見せつけた。
 
 前半13分、MF郷家友太(2年)のスローインを受けたJ2千葉加入内定のMF高橋壱晟(3年)のクロスから、ファーサイドでDFを外してフリーになったFW鳴海彰人(3年)の左足シュートが決まって先制。後半13分には郷家のロングスローをDF三国スティビアエブス(3年)がニアサイドで頭ですらし、こぼれ球を高橋が左足でゴールに押し込み追加点。同21分にはMF嵯峨理久(3年)のクロスが相手DFに当たってオウンゴールとなり、決定的な3点目。同33分、正智深谷はCKからDF田村恭志(3年)のヘディングシュートで一矢報いるのが精一杯。青森山田が3-1の完勝で準決勝へ駒を進めた。
 
 一見すると傍目には完勝続きで楽に勝ち上がっているように見える。しかし黒田剛監督は鵬翔戦後、チーム事情をこう明かした。
「一度チャンピオンシップが終わってから中4~5日で青森を出ましたが、清水エスパルスユース、FC東京U-18とのアウェー戦、そしてチャンピオンシップがあったわけですが、20日間くらいで(バスでの)走行距離5~6千キロを行ったり来たりしていました。かなり選手にはガタが来ていて、腰や足首を傷めた選手も多く、コンディション的に最悪の状況で選手権合宿をスタートさせました」
 
 プレミアリーグEAST優勝のかかった試合やチャンピオンシップで一度ピークを作り、再び選手権優勝に向けてピークを作っていくというのは、いくら戦力的に充実していてもそんなに簡単な話ではないのだ。
「あまり無理をさせずに調整させながら、なおかつモチベーションが下がり過ぎないようにここまで持って来ました。短期決戦なのでモチベーションをうまくキープしながらやっていきたいですが、確かにマネジメントは今までよりも難しいです」
 こうして細心の注意を払いながら、今大会へ入っていったという。

第95回高校サッカー選手権 準々決勝 正智深谷1-3青森山田 PHOTO

 

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