【天皇杯決勝】大一番でまたも敗れた中村憲剛が2017年に期す想い。「新しいフロンターレを作って――」

2017年01月01日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「下を向いている暇はない」

試合後には呆然とした表情を見せていた中村。それでも気持ちは前に向いていた。写真:徳原隆元

[天皇杯決勝]鹿島2-1川崎/2017年1月1日/吹田S
 
 またしても届かなかった――。
 
 チャンスは多く作った。先制点を奪われた後に力強い反発力も示した。あと一歩のところまで相手を追い詰めた。それでも――。
 
 延長戦で勝ち越しゴールを奪われ、1-2で敗れた天皇杯決勝の後、呆然としながらピッチに立ち尽くしていた中村憲剛は、絞り出すように試合を振り返った。
 
「結果がすべてですから。自分たちがどれくらいチャンスを作ってもスコアは2-1ですし、それがすべてです……。やっぱり決め切るところ、決められちゃいけないところ、準々決勝、準決勝もそうでしたが、その差だけなので」
 
 ゆっくりと言葉を発しながら、そしてこうも続ける。
 
「開始から相手を脅かす部分は多かったですし、向こうに何かされたかといえばそうでもなかった。それでも自分たちが決め切れないなかで、セットプレーでぽっと取られると流れが変わってしまう。自分たちがどれだけ準備をしても、1本で引っくり返される。追いついた後にたたみかけられなかったのも、もったいなかった。十分に勝つチャンスはあったと思います。
 
 相手との差を自分たちで精査して、埋めていかなくちゃいけない。もちろん(来季に向け)いなくなるメンバーもいますが、それでも(この悔しさは)無駄にしちゃいけないと思います」
 
 初タイトルへの夢は来季以降への持ち越しとなった。ただ、そのチームに風間八宏監督とエースの大久保嘉人はいない。それでも中村は前を向く。
 
「このチームが今日で終わってしまうのは寂しいですが、それがプロサッカーの常なので、下を向いている暇はないですし、新しい監督、新しい選手と、新しいフロンターレを作っていかなくてはいけない。今日のというか2016年を含めてこんなに悔しい想いをしたチームはほかにいないと思うので、それは新しいチームになってもベースとして持っておかなくてはいけない。こういうステージに来ることが日常になれば、チームが次のステップに行ったということなので、キャンプから質を高めてやっていきたい」
 
 今季、JリーグMVPに輝いた司令塔は36歳にしてさらなる成長を見せた。来季はチームとして進化を見せ、悲願を成就できるのか。「少しの差が天と地と言えるほどの結果を生んでしまう」ことを肝に銘じながら、再びタイトルを懸けた大舞台へと戻ってきてもらいたい。
 
【天皇杯決勝PHOTO】鹿島 2-1 川崎|ファブリシオ弾で鹿島が今季二冠&通算19冠を達成

取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
 
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