[選手権１回戦]米子北 ３-０ 旭川実／2016年12月31日／NACK
 
　まさに、圧巻のパフォーマンスだった。
 
　３トップの真ん中を任された米子北の伊藤龍生はこの日、２得点・１アシスト。ロングボールを収めて起点となるだけでなく、左右に流れてパスを引き出した。
 
「（走り込む味方が）見えてはいたが、感覚も大切にした」というチーム１点目のアシスト。「練習通りだった」というセットプレーからヘッドでゴールネットを揺らしたチーム２点目。
 
　なかでも衝撃だったのは、「今までのゴールのなかでも上位に入る」と自身で語ったチーム３点目だ。
 
　﨑山誉斗からボールを受けると、狙い通りの位置へトラップ。左足でボールを跨ぎ、軽く右へボールを持ちだして、対峙したDFを抜き切らずに右足を振り抜いた。
 
「ボールをもらう前にゴールの位置をしっかりと確認してあったし、ファーに打つイメージを持っていた」
 
　スタジアムをどよめかせたゴール。伊藤がボールを持つたびに何が起こるのかと観客が期待する、そんな空気に見事に応えてみせた。
 
　ただ、「得点王を意識している」伊藤は自身の甘さを反省していた。「ハットトリックをしたかったが、２ゴールして満足してしまった部分もある」。
 
　初戦を快勝で飾った米子北が勝星を重ねるには、この男の奮起は必須。トップスコアラーになれるほど、ゴールを量産できれば……。次戦も伊藤から目が離せない。
 
取材・文：古田土恵介（サッカーダイジェスト編集部）