【川崎】「今年一番良い試合だった」と喜ぶ大久保。移籍先とされるFC東京との対戦には…

2016年12月24日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「今日が一番面白かった。だからこういう形で最後に終わりたい」と念願のタイトル獲得へ意気込む。

会心の勝利に試合後にはサポーターと喜びを分かち合った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

[天皇杯準々決勝]FC東京1-2川崎/12月24日/味スタ
 
"多摩川クラシコ"で数々の激闘を繰り広げてきたFC東京と川崎の対戦となった天皇杯準々決勝は、2-1で川崎に軍配が上がった。チームを勝利に導いたのは20分に先制点を決めるなど、攻撃を牽引した大久保だ。
 
「今年の試合で一番良かったと言えるくらい楽しかった」
 
 試合後、満足そうな表情で大久保は試合を振り返る。
 
 チャンピオンシップ準決勝で鹿島(1-2)に敗れてから約1か月。チームは悔しさを抱えながら、天皇杯のタイトルを手にするために調整を続けてきた。「今までで一番長いんじゃないかな」(大久保)というほど実戦から遠ざかったことで試合勘が薄れている不安はあったが、この休養期間が、大久保にとってもチームにとってもプラスに働いたようだ。
 
「疲れが取れたのかな。今日は後ろの選手が、俺ら(前線の選手)が下がった時にすぐに当ててくれたから、DFが取りに来られなかった。だから前を向いてパスを出せるし、相手が来なかったらドリブルでも行ける。そういう形が今年なかった。今年は最初からサイドに行ってクロスという形ばかりだった。
 
 例えば俺が(エドゥアルド・)ネットに出して、ネットから戻って来て、エウソン(エウシーニョ)に出してセンタリングしたシーンがあったんだけど、あれがフロンターレの(本来の)形。今年はそういうのがなくて、それがあったら(結果は)分からなかった」
 
 その言葉通り自由にポジションを取りながら攻撃の起点となった大久保は出色のパフォーマンスを見せ、それに呼応するかのようにチームもFC東京を圧倒した。
 
 今年はリーグ戦でチームトップタイの15ゴールを奪ったものの、目標としていた4年連続の得点王を逃すなど「忘れたい1年。サッカー的に、自分的に面白くなかった」と振り返る。
 
 だからこそ最後のタイトル獲得のチャンスで、完成度の高いサッカーを披露できたのが嬉しかったのだろう。「今日が一番面白かった。だからこういう形で最後に終わりたい」と言葉には力がこもる。
 
 ちなみに今季終了後には、対戦相手であったFC東京への移籍が確実視されているが、その点に関しては「あまり意識していなかった。ただ点を取りたいと思っていた。俺が(意識)したら八百長じゃないかと言われるから(笑)。PKがあればPKも蹴るつもりだった」と飄々と話す。
 
 頂点まで残り2戦。今シーズン最後の戦いで、大久保、そして川崎はさらに進化した姿を見せてくれそうだ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【PHOTO天皇杯準々決勝】川崎が大久保の先制ゴールで東京を破り準決勝へ
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