【藤田俊哉の目】2ステージ制の上を行くオランダ2部の複雑なレギュレーション。1部昇格へVVVは絶好調!

2016年12月22日 サッカーダイジェストWeb編集部

オランダ2部は9試合ごとに4つのピリオドでチャンピオンを決めるシステム。

アシスタントコーチとしてVVVフェンロのベンチで戦況を見守る藤田氏。(C) Getty Images

 オランダリーグ2部・VVVフェンロのコーチとしてヨーロッパでの指導者人生をスタートさせている元日本代表MFの藤田俊哉さん。現地で日々感じたことを、月1回のペースでお届けします。今回は、VVVの前半戦の戦いぶりとアシスタントコーチとしての日々のスカウティング活動について紹介する。
 
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 今シーズン、オランダ2部リーグ(エールステ・ディビジ)を戦っているVVVフェンロ。12月16日のアイントホーフェン戦を1対0で勝利し、首位をキープしたままウインターブレイクを迎えた。
 
 日本ではJリーグで年間チャンピオンになった浦和レッズが、チャンピオンシップで敗れ、Jリーグ王者になれなかったことに関して、いろいろな意見があるように、各国リーグのレギュレーションは本当に様々だ。
 
 個人的な意見としては、Jリーグも来年にはチャンピオンシップのない1シーズン制のリーグ戦に戻って、最多勝点を獲得したクラブがJリーグチャンピオンとなるのがいい。
 
 オランダ1部リーグ(エール・ディビジ)は、ドイツやスペイン、イタリア、イングランドのリーグと同じようにシンプルなレギュレーション。18クラブによる2回戦総当たりで年間チャンピオンを決めるというもの。
 
 しかしVVVフェンロが戦うオランダ2部リーグは、なかなか複雑なレギュレーションになっている。リーグ戦は20クラブで構成され、2回戦総当たりのホーム・アンド・アウェー方式で行なわれる。1部リーグへの自動昇格は優勝クラブの1枠のみで、残り2枠はレギュラーシーズン終了後に行なわれるプレーオフによって決める。
 
 プレーオフ進出の条件は、ピリオド・チャンピオンになるか、最終順位で9位以内に入っていること。このピリオド・チャンピオンという制度が、オランダ2部リーグ特有のレギュレーションと言える。レギュラーシーズンを開幕戦から9試合ごとに区切って、9試合×4ピリオドで合計4チームのチャンピオンを決めるシステムとなっている。
 
 現在、オランダ2部リーグは19節を消化。開幕から好調を維持しているVVVフェンロは、第1ピリオドに続いて第2ピリオドもチャンピオンとなった。
 
 あくまでプレーオフ進出のチケットを得たにすぎないが、昨シーズンの19節終了時と勝点を比べても、今年は7ポイントも昨年を上回っている(13勝2分4敗の勝点41)。それは非常にポジティブに捉えていい。得点数こそ35点とリーグ4位だが、失点数は13点でリーグ最少。1試合平均1失点以下に抑えていることが、安定したパフォーマンスを発揮できている要因だろう。
 
 ちなみに、現在2部リーグで、勝点2ポイント差で2位につけているヨング・アヤックスはアヤックスのリザーブチーム。2部リーグには、アヤックス、PSV、ユトレヒトのリザーブチームが参戦しているが、この3チームはあくまで経験を積むことを目的としていることから、1部昇格の権利はなく、プレーオフには進出できない。
 
 目下のライバルは勝点4ポイント差で同3位につけているMVVになるが、いずれにしても、このまま第3、第4ピリオドともチャンピオンになって、"完全優勝"という形でシーズンを終えたら、こんなに嬉しいことはない。
 

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