「本気のマドリー」と戦えるのはバルサなど一握り。鹿島は掛け替えのない経験をした

2016年12月21日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

土居は「明らかにプレースピードが変わった」と振り返る。

ハットトリックを達成したC・ロナウドをはじめ、マドリーの選手たちは逆転されてから明らかにギアが上がった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

[クラブW杯決勝]レアル・マドリー 4-2 鹿島アントラーズ/2016年12月18日/横浜国際総合競技場
 
 延長戦の末、レアル・マドリーに惜敗した鹿島アントラーズの面々は試合後、取材ゾーンで似たような印象を語っていた。
 
「前半はたぶん本気じゃなかった。でも、(柴崎)岳が2点目を決めてから、ガラッと雰囲気が変わって、すごい威圧感を感じた」(昌子源)
 
「逆転してから明らかにプレースピードが変わった」(土居聖真)
 
「レアルはウチが2-1でリードするまで本気じゃなかったと思います」(鈴木優磨)
 
 9分にカリム・ベンゼマのシュートで先制したマドリーだが、44分と52分に柴崎にゴールを奪われる。1-2の劣勢に立たされた欧州王者は、記者席から見ていてもそこから一気にギアを上げた印象を受けたが、対峙する鹿島の選手たちもそれを肌で感じていたのだ。
 
 結果、60分のPKを手始めに、延長戦の98分と104分に立て続けにゴールを決めたクリスチアーノ・ロナウドのハットトリックで、マドリーは公式戦連続無敗記録を37試合に伸ばす勝利を掴み取った。
 
 序盤のマドリーが"手を抜いていた"わけではないはず。しかし、鹿島の選手たちが振り返った通り、"本気"でなかったのも事実だろう。
 
 マドリーのような欧州トップクラブの選手は、クラブレベルだけで1シーズンに50試合以上を戦う。そこに代表戦まで含めれば60試合前後。例えばC・ロナウドは、鹿島戦が2016年の57試合目だった。
 
 そのすべてをフルパワーで戦えば、いくらトップアスリートとはいえ心身ともに耐えきれないだろう。それでもマドリーのような常勝軍団に、負けは許されない。
 
 だから、"相手のレベルに合わせた勝ち方"が自然と身に付く。戦力的に大差がないバルセロナやバイエルンとやるのと、明らかに格下であるオサスナやアラベスとやるのでは、フィジカル的にもメンタル的にもすべてにおいてアプローチが違う。
 
 果たして、鹿島戦のマドリーはどうだったか。前半は準決勝のクラブ・アメリカ戦と同じく完全に後者のモードであり、早い時間帯に先制したことでより試合をコントロールしにいった。しかし、逆転を許したことで一気にスイッチが入り、間違いなく前者のモードに移行したのだ。
 
 繰り返すが、"本気"のマドリーと戦えるのは、リーガ・エスパニョーラとチャンピオンズ・リーグで覇権を争う欧州のトップクラブのみ。結果的に敗れはしたものの、鹿島が欧州のクラブでも一握りしか体感できない、掛け替えのない経験をしたのは間違いない。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
 
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