FC東京入団内定の大注目GK、廣末陸が激白。青森山田の進化、かつての挫折、そして選手権への想い

2016年12月17日 安藤隆人

「守り切れる、勝ち切れるチームが結果を残せる」

東京から越境入学して3年。ついに全国大会のタイトルを獲得し、満面の笑みを浮かべる。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 2016年、廣末陸はふたつのタイトルを獲得した。
 
 ひとつ目は、U−19日本代表として掴んだU-19アジア選手権優勝。そしてふたつ目は12月17日、まさに悲願の戴冠だった。自身が青森山田に進学して初となる、全国制覇だ。

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 高円宮杯プレミアリーグEASTを制し、WEST王者のサンフレッチェ広島ユースとのチャンピオンシップ。終始安定したゴールキーピングを披露し、延長戦までの110分間を完封して見せると、運命のPK戦では相手のファーストキッカーを読み切ってストップ。決めれば勝利の4人目のキッカーとして登場し、きっちりとGKの逆を突き、青森山田を優勝へと導いた。
 
 来春のFC東京入団が内定している高校ナンバーワンGKに、話を聞いた。
 
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──ついに成し遂げたプレミアリーグEAST制覇。優勝を飾った最終節のFC東京U-18戦は、相当気持ちが入った一戦でした。
 
「主導権は相手が握っていましたけど、粘り強く戦って無失点で抑えたからこそ、1点が取れて勝てんだと思います。絶対に勝つ気持ちでやりました」
 
──会場となったのはFC東京の小平グラウンドでしたが、完全アウェー状態でした。
 
「そうですね、試合が終わってからはすごく歓迎されたのですが、試合中はやっぱりアウェーでしたね(笑)。でも、ああやって後ろにサポーターがいてくれることは、本当に心強いことなんだなとあらためて感じました」
 
──最終節の直接対決、そしてチャンピオンシップも制し、真の日本一の座を掴みました。「青森山田は勝負弱い」と言われた時期もありましたが、見事に払拭しましたね。
 
「はい、毎年優勝候補と言われながら、いろんなところで負け続けていました。日本一を一度も獲れていなかったので、本当に良かったです」
 
──昨年は残り2節で首位に立ちながらも、鹿島アントラーズユースにアウェーで0-1の敗北を喫したのが響き、最終的に2位で終わりました。今回も残り3節で鹿島ユースに苦杯を舐めて、一度は首位から陥落。かなり嫌な予感はしませんでしたか?
 
「正直、しました。FC東京戦もちょっとあの鹿島戦がよぎりましたね(笑)。拮抗した試合で、去年は前半にPKを与えて失点してしまった。今回はその反省を踏まえて、しっかりと前半をゼロで抑えて、ピンチでもみんな身体を張ってくれていたので、『この調子なら最低でも引き分けに持ち込めるし、後ろが我慢していれば、前は必ず1点は取ってくれるだろう』と信じることができましたし、集中し切ってましたね」
 
──去年の鹿島戦は押し込みながらもチャンスを決め切れず、PKで失点し、0-1の敗戦。今年のFC東京戦は押し込まれながらも耐え凌ぎ、終盤のPKをモノにして1-0の勝利。この違いはまさしく成長の証だと思います。
 
「本当にそう思います。感じたのはやっぱり『やり切れるチームは強い』ということです。守り切れる、勝ち切れるチームが結果を残せるのだなと思いました」
 
 
 

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