ビデオ判定は「あくまでオプションに過ぎない」とFIFA責任者がコメントも、選手たちは「もはやサッカーではない」と困惑

2016年12月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

審判委員長は「テクノロジーが機能した」と称える。

ビデオ判定により、鹿島にPKが与えられた世界初の事象は海外メディアでも大きく取り上げられた。 Photo by Shaun Botterill - FIFA/FIFA via Getty Images

 クラブワールドカップ準決勝で鹿島アントラーズは、南米王者のアトレティコ・ナシオナルから3点を奪って、3-0と快勝し、夢の決勝へと駒を進めた。
 
 アジア勢初の決勝進出とともに、この試合で大きな話題となったのは審判の判定だ。
 
 27分、鹿島が得たFKの場面で、ボックス内で西大伍が倒されたがプレーは続行された。しかし、主審のヴィクトル・カッサイは、28分に試合を中断し、ビデオでリプレイ映像を確認し、鹿島にPKを与えたのだ。これを土居聖真が難なく決めて、鹿島が流れを大きく引き寄せた。
 
 試合後、土居は「どの場面を判定しているのか分からなかった」と語り、一方のナシオナルの面々は「もはやサッカーではない。これによって全てが変わってしまう」(マテウス・ウリベ)、「テクノロジーの被害者になってしまった」(レイナルド・ルエダ監督)とやりきれない思いを口にした。
 
 サッカーでは世界初の"判定"に対してFIFAの審判委員長であるマッシモ・ブサッカ氏は『FIFA.com』にて、「今日の判定の場面で、主審とビデオ副審のコミュニケーションは明確なものだった。最終的な判断は主審が下したが、テクノロジーはしっかりと機能していた」と新たな試みを称える発言をしている。
 
 さらにサッカーのルールの制定などを行なっているIFABのテクニカルディレクターを務めるデイビッド・アーリー氏は「我々が世界のプレーヤーとコーチから受け取っているメッセージはその試合の主審が判定の最終決定者であって欲しいということ。ビデオ判定はあくまでオプションに過ぎない」と語り、ビデオ判定があくまで主審のサポートであることを強調した。
 
 世界中のメディアが大きく取り上げたビデオ判定。当事者である選手やコーチたちから戸惑いの声が上がっている以上は、何らかの改善や議論の余地がありそうだが、いずれにしてもサッカーそのものを大きく変えるシステムになっていきそうだ。

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