【岡山】J1昇格まであと1勝。桃太郎のように勇敢に挑め!

2016年12月03日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

過去一度も勝ったことがない強力なC大阪。むしろ、舞台は整った。

押谷(14番)のゴールで先制し、赤嶺(24番)が終了間際に決勝点。プレーオフ準決勝は、2-1で松本を下した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 ファジアーノ岡山、悲願である初のJ1昇格なるか。
 
 岡山が12月4日、J1昇格プレーオフ決勝のC大阪戦に臨む(金鳥スタ、15時30分開始)。J2レギュラーシーズンの上位チームにアドバンテージが与えられるため、6位だった岡山は、4位のC大阪に90分間で勝つことが昇格条件となる。
 
 引き分けた場合は敗退。つまりC大阪がJ1昇格にする。アウェーの地だけに、ミッションはより困難を極める。今シーズンの成績も、山口蛍や柿谷曜一朗らを擁す選手層も、明らかにC大阪のほうが上だ。
 
 しかし、だからこそ岡山が勝つ格好の舞台が整ったと言えるのではないだろうか。
 
 諸説あるものの、岡山は桃太郎発祥の地として知られる。ファジアーノは、イタリア語で雉(キジ)を意味する。
 
 C大阪には通算0勝2分5敗、6得点・15失点。今季も1分1敗と、一度も勝ったことがない、明らかに手ごわい相手である。ただ逆に、この大舞台、岡山らしく挑み甲斐のあると言えるのではないだろうか。
 
 初めてプレーオフ圏の6位でシーズンを終えた岡山だが、パッとしたシーズンだったとは言えない。というのも、上位5チームとの対戦成績は1勝5分4敗と、一度しか勝てなかった。
 
 10月5日に行なわれた35節のアルウィンでの松本戦は、惨憺たる内容だった。こじんまりしたプレーが目立ち、松本の意図した攻撃にことごとくついていけない。退場者を出しながら、辛うじて1-1に持ち込んだものの、パフォーマンスの差は歴然としていた。
 
 しかも岡山はその松本戦から最終節まで、3分4敗と一度も勝てなかった――。
 
 あれから2か月、再びアルウィンでプレーオフ準決勝を迎えた。冷たい雨が降りしきるなか、しかし岡山は見違えるような、今季最高といって過言ではないパフォーマンスを見せた。
 
 押谷はゴール前に踏み込むとひと回り大きくなったような存在感を放ち、猛烈な重圧を与えた。貴重な先制点はその豪快な飛び出しから生まれた。
 
 リオ五輪代表にも選ばれた背番号10をつける矢島は、桃太郎もうらやむ牛若丸ばりの機敏な動きで相手を翻弄し、正確なキックを前線に放ち数々のチャンスを作り出していった。

次ページ「矢島はJ2の中でも、ひとり抜けていた選手だった」。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事