【鹿島】「いつもどおりでいい」。永木に確信を与えた小笠原の“金言”

2016年11月28日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「鹿島には勝ち切れる力がある。すごく良い経験をさせてもらっている」

鹿島の常勝軍団たる所以を体感した川崎戦。小笠原や曽ケ端ら優勝経験者の存在は大きいという。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 永木亮太にとって、今は夢のような時間だろう。Jリーグデビュー戦(2010年7月14日/湘南対鹿島/カシマスタジアム)で対戦した名門チームのユニホームを身に纏い、小さい頃から部屋にポスターを貼るほど憧れ、参考にしてきた小笠原満男とボランチでコンビを組んでいるのだから――。
 
 チャンピオンシップ準決勝の川崎戦、永木はスタメンに名を連ねた鹿島の日本人選手で唯一タイトル獲得の経験がなかった(J2優勝を除く)。今年11月のキリンチャレンジカップで日本代表デビューを飾ったとはいえ、Jリーグにおける実績は他の選手には及ばない。そんな永木は試合前、小笠原にアドバイスを求めたという。「勝たなければいけない一戦で、どのようにゲームに入ればいいですか」。永木の質問に対する小笠原の答えは、単純明快だった。
 
「満男さんは『いつもどおりでいい』、『やることは何も変えなくていい』と言ってくれました。その言葉を聞いて、自然体で試合に入れましたね」
 
 その言葉どおり、持ち味の球際の強さで川崎の攻撃を撥ね返し、三竿健斗が投入された75分以降は「初めて」という右サイドハーフをこなして見せた。「ファウルが多かったのは反省点」としつつも、「(川崎相手に)ある程度は守れたと思う」と振り返る。1-0で勝利を飾った試合を、西大伍や土居聖真は「鹿島っぽい」と評したが、今季から加入した永木も、改めて鹿島の「常勝軍団」たる所以を感じたという。
 
「川崎戦は魂の入った試合ができました。そういうのが鹿島はベースにある。それを再確認しましたね。やっぱり満男さん、ソガさん(曽ケ端準)の存在が大きい。ふたりがいることでチームが落ち着くし、タイトルを獲っている選手たちは勝負どころを知っていて、しっかり(チームを)締めてくれる。勝ち切れる力が鹿島にはあるんです」
 
 タイトルを懸けたしびれるような戦いを渇望し、永木は鹿島に新天地を求めた。「第1ステージも取ったし、すごく良い経験をさせてもらっている」。チャンピオンシップ決勝の浦和戦を前に、心身ともに充実した状態にある。そして、念願のリーグ優勝を手にした時、永木は本当の意味で常勝軍団・鹿島の一員となるだろう。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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