名古屋が振るった”大ナタ”は、チーム再建に結びつくのか

2016年11月26日 サッカーダイジェスト編集部

一般論では、失敗する可能性が高い。

名古屋は闘莉王をはじめとする多くの主力を契約満了とした。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 J2降格を機に、所属選手を大幅に入れ替えている名古屋の動向が注目されている。2010年にJ1制覇を経験したこの名門クラブに限らず、主力選手の大半を放出してチームの再建を模索するやり方は、果たして良策と言えるのか。様々な事例を基にしながら、その是非を問うた。
 
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 J2降格が決まった名古屋は、 今オフに大ナタを振るうらしい。大ナタといえば、今季の千葉がそうだった。なにしろ選手の大半が新加入という有様。そうなった事情は色々あるが、結果的には昇格どころかプレーオフ進出にも手が届いていないのだから、チーム刷新は失敗だったことになる。
 
 選手を大幅に入れ替えればファンの期待感は膨らむし、フロントも仕事をした気になるかもしれない。選手同士も寄せ集めだと自覚しているので、互いにコミュニケーションを活発にするなど雰囲気も良くなったりする。ただ、やはり寄せ集めなのでチームとして機能するまでにそれなりの時間はかかる。また、チームとしての特徴が表われる頃には以前とは別の問題も浮上してくるものだ。
 
 名古屋のケースがどうかは分からないが、一般論で言うとこの種の大改革は失敗に終わる可能性のほうが高いと思っている。
 
 確かに選手、監督、スタッフを入れ替えれば、降格の原因となった問題はなくなるだろう。しかし、新チームにも遅かれ早かれ必ず問題は発生する。すでに分かっている問題に取り組むか、それともこれから発生する未知の問題に取り組むか。どちらのリスクが高いかと言えば後者になるだろう。
 
 人員刷新のもうひとつのリスクは、 そもそも問題解決に取り組む側に専門的な知識がない場合が多いということ。つまり、「素人」社長である。
 
 どんなチームを作るかを考えるのは社長でなくてもいい。ゼネラルマネージャー(GM)やテクニカルディレクター(TD)が優秀なら、問題ないだろう。とはいえ、最終的な決断を下すのは社長である。そもそもGMを選ぶのも、普通に考えれば、社長である。やはりサッカーを知らなくてはそういう時も的確に判断できない可能性が高い。

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