A・サンチェスが嘆き、ファンも「また2位か…」と戦々恐々。アーセナルに悲壮感が漂う

2016年11月24日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

18戦無敗だが、ここにきて3試合連続ドロー中。

リードをしながら追いつかれてドロー決着となったパリSG戦。試合後に、選手たちは改善を口にした。 (C) Getty Images

「僕らは18試合連続で無敗…それを継続しながらも、引き分けを勝利に変えていく必要がある」
 
 11月23日のパリSG戦後(チャンピオンズ・リーグ5節)、アーセナルのアレクシス・サンチェスはそう嘆いた。
 
 アーセナルは18分にエディンソン・カバーニに先制点を奪われたものの、45分にA・サンチェスの奪ったPKをオリビエ・ジルーが決めて追いつき、60分にはA・サンチェスの飛び込みからマルコ・ヴェッラッティのオウンゴールを誘発して勝ち越した。しかし、77分にCKからルーカスに同点弾を決められ、結局は2-2のドローに終わった。
 
  アーセナルとパリSGはすでにベスト16進出を決めていたため、この日は1位抜けを懸けた一番だったものの、決着は12月6日の最終節に持ち越し。5節を終えて勝点11で並んだ両者だが、6節の対戦相手はアーセナルがバーゼル、パリSGがここまで13失点と守備が崩壊するルドゴレツだけに、パリSG有利との見方が大勢を占める。
 
 アーセナルは戦々恐々としているだろう。何しろ彼らは、CLで過去6年連続のベスト16敗退中。そのうち5回はグループステージ2位抜けだったため、バルセロナやバイエルンなど1位抜けの優勝候補を引き当ててしまい、敗れ去ってきたのだ。
 
 ファンたちは、もちろんその歴史をよく知っている。試合後のエミレーツ・スタジアムは、「また2位になってしまうのか……」という悲壮感に近い雰囲気に包まれていた。
 
 プレミアリーグ開幕戦でリバプールに敗れて以来、アーセナルは公式戦18試合無敗(12勝6分け)だ。

 しかし、A・サンチェスの言葉通りここにきて勝ち切れない試合が増えており、トッテナム、マンチェスター・U、パリSGという強豪相手とはいえ3試合連続ドロー中。毎年のように多くの勝点を取りこぼすため、アーセナルにとって11月は「魔の月」と言われてきたが、1勝3分けというここまでの成績は図らずもそのジンクスを証明する格好となっている。
 
 この日もA・サンチェスやメスト・エジルが2列目から中盤まで下がってボールを受けて、何とか打開を試みたが周囲との連携が機能せず、ともに頭を抱えながら嘆いたり、仲間に大声で動き方を指示したりする姿が目に付いた。
 
 サンティ・カソルラやエクトル・ベジェリンという主力の故障離脱もあり、チームのリズムが微妙に狂っている印象は否めない。
 
 もちろん、プレミアリーグは1位チェルシーと勝点3差の4位と好位置に付け、CLもまだ首位突破の可能性を残している。もはや「優勝できない指揮官」と言われて久しいアーセン・ヴェンゲル監督の手腕が、改めて問われる。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
 
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