【選手権出場校】埼玉・正智深谷|全国屈指のスピード感溢れる速攻は更なる進化の可能性も

2016年11月21日 川端暁彦

前線4人のうち3人が50メートル5秒台。

50メートル5秒台の快足を持つ新井。前回の選手権で受けた負傷の回復が長引いたが、ようやく復帰。今大会でブレイクスルーを果たせるか。写真:川端暁彦

 堅い守りと速い攻め。テクニカルな選手も多いが、小島時和監督が「ウチのベースは守り」と言い聞かせてきたように、激戦区埼玉を2年連続で制した正智深谷の真骨頂は徹底された全員守備にある。選手権予選は通算1失点。決勝でロングスローから喫した1点のみに抑え切ってしまったチームとしての守備力の高さは、確かに武器である。ただ、単に守っているだけのチームでも決してない。
 
 魅力は攻撃陣にも詰まっている。まずとにかく速い。「自分が50メートル5秒9で、今岡マックス(3年)が5秒7、玉城裕大(3年)が5秒8。前線4人の内3人が5秒台の記録を持っている」(FW新井晴樹/3年)という絶対的なスピードがなんと言っても強烈だ。もちろん手計測の数字であって公認記録ではないのだが、それでも速いのは確か。試合を観ていても、特にカウンターから前線の選手が一気に加速していくスピード感は、全国でもそうそう見られないレベルにある。
 
 決勝の浦和南は引いて守る相手に対して武器であるスピードが必ずしも生きていなかったが、その場合はスーパーサブのMF田島帆貴(3年)がいる。トップ下タイプでボールを持てて必殺のパスが出せる彼が入ると攻撃のリズムが変わり、スピードスターたちもより生きてくる。技術のあるFW鈴木裕大(3年)を含めて、速さを活かす術を知る選手たちがいるのも正智深谷の強みだろう。
 
 全国大会に向けて小島監督は「もっとスピードに変化を付けたい」とも語っているが、彼らやボランチのMF小山開喜(3年)の存在が緩急のリズムを得るためのポイントになるだろう。

次ページ昨年度選手権に出場した新井が8月半ばに復帰。完全復活でスケールアップできるか。

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