【現地発】アルゼンチン、大敗後の様々な反応――憤るメディア、疲れた国民、自信を失わない指揮官、そして冷静なエース

2016年11月12日 チヅル・デ・ガルシア

「出て行けバウサ」という声が飛び交うなかで当の監督は…。

今夏のコパ・アメリカ・センテナリオ決勝戦後には敗戦のショックで代表引退を表明したメッシだが、今回の大敗の後では冷静に試合を振り返っており、次なる戦いへ気持ちを切り替えているようでもあった。 (C) Getty Images

 宿敵ブラジルに0-3と敗れた夜、アルゼンチン国内では、SNS上で「#AndateBauza」(出て行けバウサ)がトレンドとなった。
 
 誰もが、何ひとつポジティブな要素を見せられないまま完敗したチームの責任は、間違いなくエドガルド・バウサ監督にあったという見解を示したのである。
 
 メディアの大半は、バウサ監督の采配に問題があったと指摘。最も問題視されたのは、2点リードされて前半を終えた後、それまで中盤で効果的な動きを見せ、唯一攻撃のチャンスを作っていたエンソ・ペレスを下げてセルヒオ・アグエロを投入したことだった。
 
 また、本来のレベルからは程遠いパフォーマンスに甘んじるハビエル・マスチェラーノの起用にこだわり続けたこと、ブラジルの攻撃に翻弄される両SBを交代させなかったことなども厳しく批判された。
 
「出て行けバウサ」という抗議の声が飛び交うなか、当の監督は試合後の会見で、次のように語った。
 
「非常に厳しい敗戦だった。我々は負けるとは考えていなかったし、まして3-0のスコアになるとは思ってもいなかった。(ブラジルの)最初のゴールまでは中盤で対等に競い合うという、我々が望んでいた通りのプランでゲームが進んでいたが……」
 
「それが崩れたのは、前半終了間際に相手の2ゴール目が決まった時だった。私はそこでリスクを負ったが、それがブラジルにとって十分なスペースでプレーできるという好都合となってしまった」
 
 第10節のパラグアイ戦に続く敗戦となり、3年連続してタイトル獲得に失敗している選手たちが大半を占めるチームの精神面が心配されるなか、バウサ監督は自身の胸中について聞かれると「内面の力は(就任時から)全く変わっていない」と返答する。
 
「(ブラジルに)負けたことで気分は悪いが、我々にはまだ力がある。5日後にホームでリベンジのチャンス(コロンビア戦)があるし、予選通過は我々次第なのだから」
 
 現時点では本大会出場権を得られない6位というポジションにありながらも、状況を変えるだけの冷静さと自信には欠けていないことを強調していた。

次ページ「全ては自分たち次第」の今後――国民に共闘を訴えたメッシ。

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