「もうスーパーサブには飽きた」と吐露したモラタをファンも支持。どうするジダン?

2016年11月07日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

会長に意向に反してチームに残したのはジダンだ。

ここまでチームトップの8ゴールを挙げているモラタ。ベンゼマからレギュラーの座を奪おうかという勢いだ。 (C)Getty Images

 クリスチアーノ・ロナウドとガレス・ベイルは絶対的な存在だ。だとすれば、R・マドリーの前線にはあと1つしかポストが残っていない。
 
 ジネディーヌ・ジダン監督にとって最大のジレンマはそこにある。カリム・ベンゼマか、それともアルバロ・モラタか?
 
 数字は嘘をつかない。ここまでベンゼマは830分出場(先発9試合)で5ゴール・2アシスト。モラタは821分出場(先発5試合)で8ゴール・4アシストだ。このデータはパフォーマンスをはっきりと反映している。なにしろモラタは、ベンゼマのみならずC・ロナウドやベイルをも上回るチーム得点王なのだ。
 
 サンチャゴ・ベルナベウを埋めるマドリディスタたちが、「Morata titular!(モラタをレギュラーに!)」という声を上げ始めているのは当然だろう。
 
 ユベントスでの2年間の武者修行で大きく成長したカンテラーノは、今やエースの座に相応しいストライカーとなった。「ベンゼマが使われているのは、ジダンの同胞に対する贔屓だ」と囁く声を耳にする機会は増えるばかりだ。
 
 モラタ本人は当初、「途中出場するたびにゴールを決められるなら、それでも構わない」と涼しい顔だった。
 
 しかし、怪我のベンゼマに代わって先発し、期待通り1ゴールを挙げた11月6日のレガネス戦後には、「スーパーサブでいることにも、出場時間のことについていちいち聞かれたりするのにも、もう飽きたよ。それから、出られなかった時の気分にもね」と本心を吐露した。
 
 振り返れば今夏にモラタをユベントスから買い戻したとき、マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長は他クラブに転売して利益を上げようと考えていた。それにストップを掛けてチームに残したのは、他ならぬジダンだった。
 
 期待以上の結果を残すモラタと、寵愛してきたベンゼマ――。ジダンは本人たちもマドリディスタたちも納得するような解決策を見つけられるか?
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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