【選手権出場校】石川・鵬学園|石川県の高校サッカーに新たな歴史の1ページが刻まれた

2016年11月05日 松尾祐希

まさにチーム一丸となって戦い抜いた

先制ゴールを決め、喜びを爆発させる鵬学園イレブン。最後までこのリードを守り切った。写真:松尾祐希

 日本代表の本田圭祐(ACミラン)やJ1鳥栖の豊田陽平を輩出し、長きに渡って高校サッカーの先頭を走ってきた星稜。2013年度に選手権準優勝、14年度には選手権初制覇を成し遂げ、今回は18年連続となる本大会出場が懸かっていた。しかし、その記録は継続されなかった。切符を手にしたのは、石川県の新興勢力、鵬(おおとり)学園だ。
 
 鵬学園にとって星稜は「一番大きな壁だった」(MF千葉東泰共/3年)。過去に公式戦では一度も勝てておらず、夏のインターハイ予選決勝でも敗北。そして、初参戦となった今年のプリンスリーグ北信越では2戦2敗と、星稜を前に悔し涙を流す結果が続いていた。しかし、その鬱憤を晴らすかのように今回の決勝では、序盤から勝利だけを目指し、一直線に突き進んだ。
 
 主導権を相手に握られた鵬学園だったが、主将の千葉東を起点に幾度となくカウンターを発動。22分に生まれた先制点も、千葉東を起点に右サイドをFW西川大祐(2年)が切り裂き、FW森田蓮(2年)がゴールを陥れたモノだった。

 その後は相手に攻め込まれる場面が目立ち、後半はほとんどの時間を自陣で過ごす展開に。それでも、赤地信彦監督が「ビビって引いてしまったら、蹴られる一方。なので、前で(ボールを)引っ掛けることをやらせた」と言うように、アグレッシブな守備で星稜の攻撃を跳ね返していく。何度か迎えたピンチは1年生守護神・的場大輝の好セーブで凌ぎ、全国大会への切符を掴み取った。
 
 まさにチーム一丸となって戦い抜いた鵬学園。その中心には、千葉東という頼れるリーダーがいた。「ドリブルやスルーパス。そしてシュートが武器」と語る千葉東は、終始献身的なプレーを見せてチームを牽引。最後まで運動量を落とさず、星稜撃破の立役者のひとりとなった。
 
 

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