［J１第２ステージ16節］磐田０-１浦和／10月29日／エコパ
 
　李忠成に出番が回ってきたのは、０-０で迎えた68分だった。浦和は前半に３度の決定機を作ったがゴールを割れず、後半も膠着状態に入りかけた状況で、背番号20に白羽の矢が立った。
 
　李がピッチに入った４分後、ゲームは動く。右サイドでパスを受けると、出し手の駒井善成に戻すとともに後ろを回ってボックス内へフリーランニング。サイドにできたスペースを駒井が鋭い突破で突き、武藤雄樹の決勝ゴールを演出した。起点となったのが李なら、ニアに走り込んでDFの気を引き、磐田にわずかな隙を作ったのも李である。得点、アシストといった記録には残らないが、ペトロヴィッチ監督の起用に応える活躍に自らも胸を張る。
 
「自分が入って点も入ったし、得点の前のプレーも、自分のつなぎから始まった。今日は途中からの出場でしたけど、心強いと思ってもらえたんじゃないかなと。チームも勝って良かったです」
 
　浦和は磐田戦で第２ステージ優勝を決めるとともに、年間勝点を73、勝利数も23に伸ばした。川崎も勝利したため、年間勝点１位決定はお預けとなったが、最終節の横浜戦に勝利すればJリーグ記録となる勝点76、シーズン24勝に手が届く。もっとも、李は歴史を塗り替えることを意識しつつも、チャンピオンシップ、ひいては"その先の戦い"まで見据えていると明かす。
 
「その（Jリーグ）記録を狙うチームの一員としてやれている喜びを噛みしめながら、今はやっている。まあ、最終節で年間１位を自分たちでしっかり決めてから、チャンピオンシップに勝って、世界大会に行きます！」
 
　溢れ出る想いを抑えきれないかのように飛び出した"世界宣言"。しかしそれは、チームそして自分の状態に対する自信の表われでもあるだろう。思い描く目標を実現のものとすべく、李はまだまだ走り続ける。
 
取材・文：小田智史（サッカーダイジェスト編集部）

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