【U-19アジア選手権】元成立学園高の豪州SBオトゥール・コナーがタジク戦で初先発も、日本と「対戦したかった」との想いは叶わず…

2016年10月23日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「最後まで頑張ったけど、これがサッカー」

タジキスタン戦で今大会初先発したコナー(11番)。攻守に懸命に働いたが、チームはスコアレスドローでGL敗退となった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 バーレーンで開催されているU-19アジア選手権。21日(現地時間)に行なわれたグループDのオーストラリア対タジキスタンの一戦で、日本に縁のあるひとりのオーストラリア人選手が出場していた。
 
 彼の名はオトゥール・コナー。日本人の母親を持ち、今春まで成立学園高に在籍していたSBで、3年前に来日し留学生として同校に入学。サッカー部でのトレーニングを精力的にこなし、昨年度の選手権予選にも出場した。
 
 現在、母国のブリスベン・ロアーでプレーするコナーは晴れて今大会のメンバーに選出され、この日が初先発。左SBとして攻守に顔を出し、クロスから前半早々のPKを誘発。90分を通じて「もっと良いクロスができたらと思うけど、何回もアタックに行って守備も0点だから」と、やや忘れかけていた日本語を懸命に思い出しながら、自らの出来に対する手応えを語った。
 
 そんな思いとは裏腹に、チームはタジキスタン相手に苦戦。コナーのクロスから奪ったPKをGKにセーブされると、守備を固めた相手を攻略できないまま時間が経過。準々決勝進出には勝利が絶対条件だったが、山ほど作ったチャンスを仕留められずスコアレスドローで敗退が決まった。
 
「チーム全員が頑張っていたけど、チャンスを決められなかったのは残念」と試合を振り返ったコナーは、タジキスタンの印象を「ずっと守備をしているから、チャンスを決めないと勝てない。PKも外してしまったし、たくさんチャンスはあったから決めないと」と振り返る。
 
 そして、いかにも「残念だ」という表情を浮かべながらこう続けた。
 
「(日本と)100パーセント対戦したかった。強い相手だし、良い試合になると思った」
 
 タジキスタンとの一戦に勝利していれば準々決勝では日本との一戦が待っていた。U-20ワールドカップの切符を懸けた一戦は、本人にとって特別なものになるはずだっただけに、その悔しさはひとしおだろう。
 
 世界大会への挑戦は終わってしまったが、コナーにとって貴重な経験になったのは間違いない。「最後まで頑張ったけど、これがサッカー」と結果を真摯に受け止めたその視線は、すでに次のステップへと向いているに違いない。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
 
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