【磐田】復活した大井がJ1残留へ心中を激白。「高い“授業料”を払ったと思えば…」

2016年10月23日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「J2に落ちて反省は馬鹿でもできる。勝つ大変さをみんなが知ることが大事」

1か月半ぶりに復帰した大井。鬼気迫る守備でJ1残留へ意地を見せた。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2ステージ15節]名古屋1-1磐田/10月22日/豊田ス
 
 田中マルクス闘莉王が戻って名古屋が息を吹き返したように、大井健太郎が左太ももの負傷から1か月半ぶりに復活した磐田はひと味違った。
 
 大井不在の間、チームは1分2敗。前節の新潟戦では終了間際に決勝弾を食らって敗戦を喫した。ピッチ外から見ていて、「ディフェンスラインが低くなってしまっている」と感じたという。ラインを上げるためには、前線からのプレスも重要だと考えた大井は、中断期間は前線の選手とのコミュニケーションに時間を費やした。名古屋戦でジェイやアダイウトンが高い位置からボールを追いかける姿は、その賜物と言っていいだろう。
 
 また、大井自身の身体を張ったディフェンスも目を引いた。19分にシモビッチのターンシュートをスライディングブロックで防いだのをはじめ、左SB中村太亮の背後にも気を配り、ゴール前へのボールを撥ね返し続けた。味方がPKを献上するハンドを取られた場面こそカバーリングが遅れたものの、守備に関する全員の意思統一ができていたと大井は振り返る。
 
「自分の復帰戦ということもあり、自分の持っているものは出せたかなと感じています。今日は大きい(ロング)ボールに対してもセカンド(ボール)を拾えていました。前半PKになってしまった場面、あとはセットプレーのシーン、それ以外は特に危ない場面はなかったと思います。PKの場面も最後は(山本康裕が)しっかりと身体を寄せていましたし、みんな集中してできていたかなと」
 
 残留を争う名古屋に勝点3を与えなかった点は、「下を向く必要はない」(大井)だろう。もっとも、磐田も降格の可能性が消滅したわけではないだけに、残り2試合も一切の予断を許さない。磐田在籍時の2008年にJ1・J2入れ替え戦(2戦合計3-2で仙台に勝利してJ1残留)、新潟に移籍した2012年には最終節で辛くもJ1残留を勝ち取った経験を持つ大井は、第2ステージの悪戦苦闘(1勝7分7敗/15得点・26失点)も、J1に残留するためならば、意味があるものだと口調を強める。
 
「若い頃は自分のことで精一杯で、頑張っていれば勝手に勝っていたりしたけど、今はそうじゃない。勝つことの大変さを、みんなが知ることが大事かなと。J2に落ちて反省することは馬鹿でもできる。今は、"高い授業料"を払ってすごく良い勉強ができていると思うし、それを生かすにはJ1にしっかり残らないとけいない」
 
 次節は、攻撃陣が好調な首位・浦和戦。残留争いの命運は、ディフェンスリーダー・大井の双肩にかかってくるだろう。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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