新CFはもはや不要!! アーセナルのエース問題がついに決着か

2016年10月15日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

総合的な貢献度はアンリ以上!?

いまのサンチェスは、まさに手が付けられない状態。ゴールだけでなく、CLを含めれば4アシストとチャンスメーク力も際立つ。 (C)Getty Images

 2012年夏にロビン・ファン・ペルシが去って以降、アーセナルはエース不在の時期が長く続いている。
 
 ファン・ペルシの後釜に獲得したオリビエ・ジルーは、ポストワークに長け、ペナルティーエリア内で高いプレゼンスを発揮する優秀なCFだ。12年6月に入団してからの4年間、プレミアリーグでのゴール数は11→16→14→16と、まずまずの数字を残している。
 
 ただ、調子に波があり、またビッグマッチで期待に応えているとは言い難い。毎年のように夏になると、大物ストライカーの名前が新戦力の候補として浮上するのは、アーセン・ヴェンゲル監督がエースとして満足していない証でもあるだろう。
 
 CFの補強は、今夏も結果的には見送られた。ただ、過去4年と大きく違うのは、1トップに完全コンバートされたある男が、奮迅の活躍を披露している点だ。
 
 アレクシス・サンチェス――。指揮官の勝算や確信めいたものがあったかどうかはわからないが、チリ代表のアタッカーが12年ぶりのプレミアリーグ制覇を目指す名門を、文字通り牽引している。
 
 チャンピオンズ・リーグを含めれば、直近7試合の成績は5ゴール・4アシスト。苦しい試合だったパリSG戦の同点弾や、宿敵チェルシーとのダービーマッチでの先制ゴールなど、重要な得点も決めている。
 
 そのチェルシー戦でサンチェスは、アーセナルでの出場試合数を100の大台に乗せた。興味深いのは、クラブ最多得点記録を持つレジェンド、ティエリ・アンリとの比較だ。100試合到達時のゴール数は、アンリが48でサンチェスが47。その差はわずか1ゴールと、ほぼ同ペースで量産を続けている。
 
 入団時の年齢はアンリが21歳でサンチェスが25歳。プレーヤーとしての成熟度がそもそも違うため単純に比較はできないものの、かつての大エースと変わらない結果を残しているのは紛れもない事実だ。
 
 無尽蔵のスタミナを誇り、前線からの果敢なチェイシングやプレスバックを厭わず、守備の局面でも高いプレゼンスを発揮するサンチェス。総合的な貢献度は、全盛時のアンリと互角、いやそれ以上かもしれない。
 
 7節を消化したプレミアリーグでアーセナルは、サンチェスの活躍もあって直近5試合は全勝。首位マンチェスター・シティと勝点2差の3位につける。
 
 CBスコドラン・ムスタフィの加入で不安の守備が安定し、絶対的な得点源も存在する。来年6月に契約が満了するヴェンゲル監督のラストイヤーとなる可能性も否定できない16-17シーズンは、何かが起きるかもしれない。
 
 プレミアリーグの覇権奪還へ――。少なくとも近年では、その期待をもっとも抱かせるチームと言える。
 
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