【韓国メディアの視点】苦戦の要因を「紳士的すぎる」「リーダー不在」と的確に指摘。「韓国審判のおかげ!?」との皮肉の声も

2016年10月07日 慎武宏

「“勝とう”とする意志を絶えず見せていたのは本田だけだったように思う」(リュ・チョン記者)

本田はキレを欠いていたが、韓国人記者の目には「“勝とう”とする意志を絶えず見せていた」と映ったようだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 劇的勝利に終わった日本対イラク戦の結果は、韓国の多数のメディアで報じられている。「日本、イラクに辛勝、反応は冷ややか」(『ブリッジ経済』)、「墜落しそうだった日本、イラク相手に劇的ゴール」(『デイリーアン』)、「日本、瀬戸際で生き残った、イラクに2-1の辛勝」(『聯合ニュース』)といった具合で、ほとんどの記事が日本で報じられている内容を元にした試合展開の紹介になっている。
 
 なかには、「イラクに辛うじて勝利した日本、韓国審判のおかげ?」(『毎日経済』)と主審が韓国人であったことを紹介するメディアもあれば、「尋常ではない日本の反応、"成長の可能性すらない"」(『デイリーアン』)と、日本のサッカー媒体に掲載されたセルジオ越後氏の辛口観戦評を紹介するメディアもあった。
 
 そんな韓国メディアの生の声が知りたくて、ふたりのサッカージャーナリストに話を聞いた。ふたりには事前に試合映像を見ていただくようお願いしたうえでの「韓国の視点」だ。
 
「日本にとっては難しい試合でしたね。ただ、重要なのは勝点3を得たこと」と真っ先に語ったのは、韓国のサッカー専門メディア『FOOTBALLIST』のリュ・チョン記者だ。
 
「日本の肯定的な要素とネガティブな要素が混在した試合だった。日本はイラクの密着守備を崩す部分戦術を見せ、特に最初のゴールは印象的だった。

 本田に関していろいろとあるようだが、攻撃に関しては悪くなかったように思う。最初のゴールを作ったのは本田だ。混戦の中でシュートを放ち続けたのも彼。エースである以上結果を出さなければ非難されても仕方ないが、"勝とう"とする意志を絶えず見せていたのは本田だけだったように思う。
 
 苦戦の原因はイラクが日本の弱点を突き、日本はそれに対処できなかったことだろう。日本の弱点に見えたのはセットプレー時の守備。ここぞとばかりに果敢にゴールを狙いに来ていたイラクに対し、日本のセットプレー時の守備は"紳士的"過ぎる。この課題を修正しないかぎり、今後も日本は不安な予選を強いられるだろう」

次ページ「“試合は支配するがゴールを決められず苦戦する”昔の姿に戻ってしまった」(ソン・ジフン記者)

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