金田喜稔がイラク戦を斬る! 「謎が深まるハリル采配。精彩を欠いた本田のプレーに違和感を覚えなかったのか?」

2016年10月07日 サッカーダイジェスト編集部

「追加点のチャンスを台無しにするのはもうウンザリだ」

山口(16番)の劇的ゴールで勝利した日本。しかし、内容に目を向けると、決して喜べない。写真:サッカーダイジェスト

 試合運びに問題があったとはいえ、勝ったことは素直に喜びたい。ここで引き分けて、次のオーストラリア戦を迎えるのとではメンタル的にも大きく違うからね。

【日本vsイラク|PHOTOギャラリー】山口の劇的弾で苦しみながらも勝利を掴む!
 
 それにこの1勝は、前回ホームで逆転負けを喫したUAE戦の‶トラウマ″を払拭し得るものになるかもしれない。
 
 イラク戦も先制しながら後半にセットプレーで追いつかれた。選手もそうだし、観客も「またか…」という思いがよぎったと思う。
 
 実際、失点後は危ない場面もあったわけで、どっちに転んでもおかしくなかった。そのなかで、山口蛍の鮮やかな一撃が決まったのだ。追いつかれても突き放せるという成功体験を得られたことで、チームにまとわりついていた不安は取り除かれたんじゃないだろうか。
 
 UAE戦では嫌な負け方をしたけれど、「ホームでやれば勝てる」という雰囲気がまた戻るかもしれない。そういう意味でも、1勝以上の価値はあったと感じる。
 
 ただ浮かれてばかりはいられない。冷静に振り返ると、内容は決して褒められるものではなかった。
 
 まず、目立ったのが自分たちのミスからボールを簡単に失う場面だ。ピッチコンディションが悪かったせいかもしれないが、思わず「もっとボールを大事にしろ」と言いたくなったくらいだ。そんな状態では、自分たちのペースで試合を進められるはずがない。
 
 セカンドボールへの反応や1対1の局面での守備は良くやっていたと思うが、こうしたミスが多かったために、終始バタついていた印象は拭えなかった。
 
 それから、UAE戦やタイ戦と同様に、追加点のチャンスがありながらそれを台無しにしてしまう「悪癖」にはウンザリさせられる。
 
 この日も、ゴール前で清武弘嗣が身体を張ってつないだボールを、本田圭佑が決めきれなかった。利き足ではない右足でのシュートだったとはいえGKと至近距離だったのだから、冷静になれば十分に決められただろう。
 
 2-0にすればもっと楽に試合を進められるのに、絶好機を簡単に逸してしまう。まるで、自らの首を絞めているようなプレーがあるのは気掛かりだ。もっと2点目を奪う意識をチーム全員に持ってもらいたい。

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