【プレー分析|清武弘嗣】見せつけた香川との違い。自己流の規律と自由の“共存形”

2016年10月07日 小田智史(サッカーダイジェスト)

中央からサイドに出る“変化”を活用。岡崎、本田とのユニット攻撃も目を引いた。

2得点すべてに絡む活躍を見せた清武。「攻撃の中心」としてフル稼働した。 (C)SOCCER DIGEST

[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]日本 2-1 イラク/10月6日/埼玉
 
 香川真司に代わってトップ下を任された清武弘嗣は、ワールドカップ予選では今年3月のアフガニスタン戦以来となるフル出場。"清武カラー"がにじみ出るパフォーマンスだった。
 
 立ち上がりはイラクが積極的に攻め込んできたため、ファーストプレーは6分。その後は11分にバイタルエリアでシュート、13分に岡崎慎司へのスルーパスと、開始15分でプレー回数はわずか3回にとどまった。イラクの2ボランチ(アムジェド・アットマン、サード・アブドゥルアミール)が中央を絞りつつ、どちらかが清武にマンツーマン気味につくことで、清武へのパスコースを消されていた。
 
 しかし、そこから左ウイングの原口元気と入れ替わってサイドに出るなど、清武が"横の変化"を入れると、局面は一気に変わる。26分、ドリブルで駆け上がって右サイドの本田圭佑にパスを出すと、ボールホルダーを追い越してコーナーのスペースを突き、原口の先制ゴールをアシスト。その1分後には、ゴール前のこぼれ球に飛び込んで本田のシュートを演出するなど、「攻撃の中心」としてチームを牽引した。
 
 さらに、前半終盤間際から徐々に増えたのが「清武・本田・岡崎」というユニットでの崩しである。56分に岡崎の落としたボールを清武が運んで中央の本田へクロス、65分には岡崎→清武→本田とつないでアタッキングサードへと侵入。CFの岡崎が「キヨ(清武)とは良い関係ができた」と振り返るように、3人が絶妙な距離感で連動した動きを見せた。
 
 清武は相手GKが傷んでプレーが止まった16分、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督から念入りに指示を受けていた。その内容を問うと、「なるべく岡ちゃん(岡崎)の近くにいろ、と言われていた」そうだが、続けて「そういうのも意識しながら……」と自分なりの"アレンジ"を加えていたことを明かす。
 
「ハリルさんのサッカーでは、なかなかトップ下はボールをたくさん触る感じにはならない。じゃあ、そのなかでどうやってリズムを作るのか。もう、出して動いて、出して動いてを繰り返すしかない。今までは結構考えすぎてしまうところもありましたけど、今日は規律を守りながら少し自由にやってみようかなと思いました」

次ページ香川との違いを見せ、「トップ下・清武」の適応力を証明する試合だった。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事