ドイツで絶賛される大迫! 必然だった今シーズンでのブレイク

2016年09月28日 中野吉之伴

システム変更とそれによる大迫の開花は今だからこそはまった。

1860ミュンヘンからケルンに移籍して3シーズン目、本来のポジションを得て躍動する大迫。ドイツでのキャリアハイの成績を残すのは確実だろう。 (C) Getty Images

 大迫勇也の勢いが止まらない。
 
 第4節シャルケ戦で、実に13か月ぶりとなるブンデスリーガでのゴールを挙げると、次節のRBライプツィヒ戦でも巧みな個人技から2試合連続となる得点をマークしたのだ。
 
 そのどちらも、なかなかお目にかかれないほどのハイレベルなシュート技術から生まれたファインゴールだった。
 
『キッカー』誌が「大迫がついに開花」と見出しを付けて称賛したのをはじめ、ドイツの地元紙はこぞってその活躍ぶりを絶賛。突然の爆発にドイツメディアも驚きを隠せない様子だが、その要因は何なのだろうか。
 
『ビルト』紙では「チームを助けることができて嬉しい。調子が良いし、FWだと自分の良さを出すことができる」という大迫自身のコメントが紹介されていたように、やはりようやくFW起用されることになったのが一番大きな理由だろう。
 
 第2節ウォルフスブルク戦でスタメンに名を連ねると、キレのある動きでしっかりとアピール。続く第3節フライブルク戦ではダイナミックな動きと正確無比な技術からビッテンコートのゴールをアシストすると、前述の2試合連続ゴールと完全に上昇気流に乗っている。
 
 大迫にとって追い風だったのは、チームが2トップシステムを採用し、それが機能している点だ。
 
 監督のペーター・シュテーガーも「彼のポジションを見つけたと言えるだろう。これまでは、他のポジションでプレーすることが多かった。今後はセンターで出場機会を得ることになるだろう」と適正ポジションを見つけたという手応えを口にしている。
 
 本来プレーすべきだったポジションで、しかし、なかなかそこで起用されずにいたポジションで、やっと幸運を見つけることができた。
 
 では、最初から大迫とモデストの2トップを採用しなかったシュテーガー監督の采配ミスということになるのだろうか? いや、システム変更とそれによる大迫の開花は、今だからこそ、はまったという見方が適切ではないだろうか。
 
 ケルンは2014年に1部へ返り咲いたクラブ。当面の目標は、他の昇格クラブ同様に1部残留だ。負けない戦い方が何よりも要求される。
 
 戦力的にも、全員で守ることを主戦略に粘り強く戦い続け、勝点を積み重ねていくという、現実的な戦いをせざるを得ない。5バック+4人の中盤で壁を築き、ほとんどシュートシーンを作り出せない試合でも、イチかバチか勝点3を狙うより、確実に勝点1を得るのが重要だった。
 
 そんなチームでは、前線でボールを収め、少ないチャンスからでも得点を奪うことができるモデストが何よりも重用された。堅守とモデスト。それがケルンの戦い方であり、ある意味、全てだった。

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