「日本のベストプレーヤーは4番!」各国記者がU-16日本のMF平川怜を大絶賛

2016年09月27日 川端暁彦

周囲の評価にも本人は「まだまだこんなものじゃない、と示したい」

ゴールに絡む場面は少ないものの、平川の攻守に渡る存在感は絶大。各国の記者も絶賛する選手だ。(C) JFA

「あの4番はどんな選手なんだ?」
 
 インドに入って2週間。U-16アジア選手権の取材をしているなかで、こんな質問を外国人記者や関係者から3回も受けた。実際に試合を観ていて気になった(あるいは気に入った)のだろう。世界切符獲得を決めた準々決勝のUAE戦後の記者会見では、AFCのオフィシャルライターから「日本のベストプレーヤーは4番だと思うのだが?」なんて質問も飛びだしたほどだ。
 
 日本の4番、MF平川怜(FC東京U-18)が大会MVP級の活躍を見せていると言っても、現地取材陣から特に異論は出ないと思われる。得点やアシストといったハイライト映像で目立つようなプレーは少なくとも、それに値するだけの輝きを見せてくれている。こぼれ球を巧みに拾い、相手のプレスを持ち前の技術でいなし、ピッチの幅を広く使うパスをさばき、起点となる縦パスを通し、そしてボールを奪い取る仕事もこなしているからだ。
 
 平川の存在を初めて強く記憶したのは、ちょうど2年前。韓国・木浦市で行なわれたアウェーのU-14日韓戦の時だった。韓国の激しいプレッシャーをモノともしないエレガントなボールさばきに見惚れたからだが、それから2年を経て守備面でも長足の進歩が観られる。代表チームで「気持ちの大切さを教わった」(平川)ことに加えて、「先輩たちがトレーニングから体現してくれることを負けないでやろうとやってきた。(FC東京の)U-18に上がってから寄せるところ、奪い切るところの意識が変わった」ことも大きい。今大会は泥臭くボールを奪うプレーでも何度も際立つ働きを見せている。それもあっての「MVP級」という評価である。
 
 もっとも、本人の見解は少し違う。
 
「(外国人記者などに評価されるのは)嬉しいことは、嬉しい。でも、(自分の力は)『まだまだこんなものじゃない』と示したいとも思う。攻撃に関わる回数をもっと増やしていきたい」
 
 そう言い切った。
 
 思えば、交代出場で印象的な活躍を見せたキルギスとの第2戦後に話を聞いた時もそうだった。間違いなく流れを変える仕事をしてはいたのだが、「自分のプレーには全然納得していない」と言い切り、自らの理想を「守備も攻撃も両方できて、点を取れるボランチ」と語ってくれた。ボールを奪ってパスをさばく「だけ」では自分で設定している合格ラインは越えていないということなのだろう。
 
 まだ身長も止まっていないそうだから、フィジカル面での伸びしろはさらに残っている。すでにトップチームにも登録され、帰国後はJ3リーグへの出場も濃厚。盗みがいのある技を持った先輩たちに追い付こうとするなかで、青赤軍団の1年生ボランチは一体どれほどまでに大きくなっていくのだろうか。楽しみに待ちたい。
 
取材・文:川端暁彦(フリーライター)

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