【大宮】丹念で、幸せな積み重ね。金澤慎が踏み出した201歩目

2016年09月27日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「しっかりと自分を出せればなと臨んだ」

J1リーグで201試合目の出場を果たした金澤。ミスター大宮はどこまで記録を伸ばせるだろうか。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2ステージ13節]大宮 1-1 鳥栖/9月25日/NACK
 
 引き分けだった。それでも金澤慎の表情は、勝利した前節よりも少しだけ晴れやかに見えた。
 
 J1通算201試合目の出場。マイルストーンは、荒れた内容になってしまったJ1第2ステージ12節・川崎戦ですでに打ち立てている。なのに、だ。
 
 ゲーム開始前のセレモニーで花束を受け取り、やっと実感したのだろうか。それとも、別の何かが心を穏やかにさせているのか。
 
「前の試合ではあまり良いプレーができなかった。今日はしっかりと自分を出せればなと臨んで、得点に絡めた。
 
(J1・200試合出場の)セレモニーをしてもらって嬉しかったし、チームに対して何かしらの貢献をできたとも思う」
 
 確かに金澤は、川崎戦後のミックスゾーンで反省ばかりを口にした。喜びをほぼ見せない。笑顔もなかった。
 
 J1での200試合出場の意義など脇に置いているかのように、低いトーンで言葉を紡いだ。
 
 それが今節は違った。まるで、呪縛から解き放たれたように、少しの微笑みを浮かべながら、いつまのように質問に対して一つひとつ丁寧な受け答えをする。
 
「相手GKがすごく良い反応をして止められてしまった」58分の強烈ミドルで、家長昭博の同点弾をお膳立てをしたことも関係しているのかもしれない。
 
 ひとつの区切りから、1試合をプラスした気持ちを尋ねてみた。200、そして201をホームで迎えられた男は、何を想うのか――。
 
「やはり、特別な気持ちはそんなにない。それよりも今日の試合では、少しだけですけど、自分でも納得できるプレーは多かった。自分でイメージしたようなプレーをより多くできたと思う。トレーニングで『改善しよう』としていた部分も少しは出せたかな。これからも積み重ねていけるように、またしっかりとトレーニングをしていきます」
 
 決して目立つ存在ではない。そんなMr.アルディージャは丹念に、ただ一歩先だけを見つめて、経験を積み重ねてきた。
 
 新たに踏み出した一歩。クラブを愛し、クラブに愛される男の201歩もの足跡は、きっと幸せなゴールへと続いている。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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