4年で10人の監督…ビジョンの見えないバレンシアにもはや名門の面影はない

2016年09月23日 豊福晋

次から次へと変わるメスタージャのベンチに座る指揮官。

9月22日のアラベス戦(リーガ5節)でようやく今シーズン初勝利を掴んだバレンシア。だがしかし、そこに正式な監督の姿はなかった。 (C) Rafa HUERTA

 例えば、2シーズン前のバレンシアの監督を覚えている人は一体どれだけいるだろう? スペイン人ですら、正確に覚えている人は限られるはずだ。
 
 かつての名門バレンシアは、ここ数年で監督をコロコロ変える落ち着きのないクラブに成り下がってしまった。監督としてしっかりとクラブのベンチにその名を刻んだのは、現在パリSGを率いるウナイ・エメリくらいだ。
 
 そのエメリがバレンシアを指揮していたのは、2008年から2012年まで。その後、本拠地メスタージャのベンチに座る監督の顔ぶれはどんどんと変わっていった
 
 まずは、2012年にマウリシオ・ペジェグリーニがやってきたが、わずか14節で解任され、エルネスト・バルベルデが後を引き継ぐ。しかし、そのバルベルデはシーズンオフに契約を更新せず、アスレティック・ビルバオへと去っていった。
 
 その後はミロスラブ・ジュキッチ、ニコ・エステベス、アントニオ・ピッツィと、混乱をもたらした印象しか残っていない監督たちが続いた。
 
 やがて、2014年にクラブを買収した新オーナーのピーター・リムが連れてきたポルトガル人指揮官、ヌーノ・エスピリト・サントの時代が来る。
 
 オーナーのサポートと、チャンピオンズ・リーグ出場権獲得などの功績もあり1シーズンを乗り切ったが、そんな彼でも翌シーズン途中には解任されてしまった。
 
 期待されたポルトガル人指揮官の解任直後は、2008年にロナルド・クーマンの後を暫定監督として率いた経験を持つボロが就き、2015年12月2日に淡い期待とともに英国からやってきたのはガリー・ネビルだ。しかし、元イングランド代表DFも散々な結果に終わり、パコ・アジェスタランに代わったのは2016年の3月30日のことだった。
 

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