【日本代表ルーツ】「太っていても、大丈夫!」。GK西川周作の“大物”ぶりを示す少年時代の写真

2016年09月12日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

小学生の頃を知る人は口を揃えて言う。「子どもの中に、ひとり大人が混ざっているようだった」。

ふくよかだった少年時代の西川(右)。運動神経は抜群で、少年時代の友人によると「球技はなんでも上手かった」そうだ。

 日本代表GK西川周作は大分県宇佐市で生まれ育ち、中学時代は宇佐FC、高校時代は大分ユース(大分U-18)と、いずれも発足して間もないチームで伸び伸びとプレーし、そして大分トリニータでデビューを果たした。
 
 小学生の頃、すでに身長が170センチ近くあった。当時を知る人は口を揃えて、「子どもの中に、ひとり大人が混ざっているようだった」と言う。
 
 そのインパクトは中学でも変わらなかった。「宇佐に有望なタレントがいる」と聞きつけた大分ユースの吉坂圭介GKコーチ(現・大分GKコーチ)が初めて西川を視察しに訪れた際、「おっさんが、試合に出ているぞ!」というぐらいひとり際立った大きな身体と存在感に"圧倒"されたそうだ。そして「一目惚れ」して、スカウトするために奔走した。
 
 ここに西川の小学生時代の写真がある。四日市南の是永哲也さんから以前にサッカーダイジェスト編集部に提供していただいたものだ。
 
 その幼少の頃の写真について西川と話をしていると、彼は「かなり凛々しくなったでしょ(笑)」と言って続けた。
 
「むしろ、あの写真を、ぜひ紹介してくださいよ。身体が太っていることを悩みにしている子どものアスリートって、けっこう多いと思うんです。でも、太っていても、大丈夫です。僕はたくさん食べたからこそ、身長がぐっと伸びて今がある。ふくよかだけど頑張っている選手たちに、勇気を与える存在になりたい」
 
 今季第2ステージの7節・湘南戦(○4-1)、8節・名古屋戦(○2-0)では、Jリーグ史上初の2試合連続アシストを記録した。それは決して偶然の産物ではないと西川は強調し、「ミシャ(ペトロヴィッチ)監督からは、誰にもできないようなプレーを常に求められている。それがモチベーションにつながっている」と語っている。
 
 日本代表選手のルーツ探訪。発売中の『サッカーダイジェスト』では、今回、西川の中学と高校時代の恩師と友人の証言をもとにしたストーリーを、5ページにわたり特集している。オウンゴール事件、GK&ボランチの二刀流挑戦、そして全国大会でFKを叩き込んだ舞台裏など――。 
 
 抜群のセーブ力に加えて、足もとの高度なテクニックを兼ね備える"規格外"GKは、どのように育てられていったのか? 山と大地に囲まれた宇佐の大自然につながるその"豊穣"な背景に、ぜひ触れてもらいたい。
 
 
取材・文●塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
 
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