【藤田俊哉の目】いつまでも本田、香川に頼ってはダメ。切り札に好調ハーフナーを試しては?

2016年09月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

苦しい状況の時こそセットプレーを生かすべきだが、タイ戦でゴールの予感は……。

本田や香川に依存する傾向にあった日本だが、彼らを追い越すような選手が求められる。タイ戦では原口(8番)、浅野(18番)が結果を出して存在感を見せた。(C) SOCCER DIGEST

 ロシアワールドカップのアジア最終予選、第2戦のタイ戦。負けられないというプレッシャーを感じながらも、日本は確実に勝点3を手に入れたね。
 
 UAE戦ではシュート25本で1点、タイ戦ではシュート23本で2点と、なかなか思い通りにゴールを奪うことができていないけれど、原口、浅野という最終予選初スタメンとなった選手が揃ってゴールを奪ったのは嬉しい結果だった。なにより抜擢したハリルホジッチ監督は勝点3に加えて、自らの采配が的中したことに、ホッとしたのではないかな。
 
 チーム全体のパフォーマンスに関しては、残念ながら特筆すべきところは少なかった。それでも、失点ゼロに抑えた守備力は評価すべきだろう。あわやという場面を作られたのはいただけなかったけれど、いくらタイが格下とはいえ、アウェーでのタイの攻撃をシャットアウトしたんだから、合格点を与えていい。
 
 攻撃に関しては、ゴール前の精度をもっと高める必要があるけれど、縦へのスピードが上がってきたのは好材料だろう。ゴールだけでなく推進力を生み出していた原口、浅野の起用は"効果的"だった。本田、香川がノーゴールに終わったものの、いつまでも彼らに頼っているチームであってはいけないし、これまでずっと彼らに助けられてきたのだから、こうしてほかの選手が活躍してチームが勝つという試合があってもいいんじゃないかな。
 
 もちろん欲を言えば、得点力を高めるための工夫を見せてほしかった。スピード感のある展開で攻め続けていたけれど、"変化"という点でもう少しアイデアを出せたはずだ。前回のコラムでも触れたけれど、苦しい状況の時こそセットプレーを生かすべき。UAE戦では清武のセットプレーからゴールが生まれたけれど、今回のタイ戦ではセットプレーからネットを揺らすシーンは見られなかった。ここはゴールを決まるんじゃないか?という空気も生まれなかったと感じていた。
 
 何度も言うようだけど、最終予選というのはそう簡単には勝たせてくれない。タイ戦でもこうして簡単にはゴールを奪えないのだから、イラク、サウジアラビア、オーストラリアにはもっと苦戦を強いられると考えたほういいだろう。アウェーの試合は思い通りにいかないということが、今回のタイ戦で改めて証明された。それもその予兆だと捉えるべきだろうね。
 
 選手たちも口にしているように、最終予選は内容よりも結果だ。言い換えれば、これからも勝点3を奪うための作業を淡々と繰り返していくことが、最終予選の戦いには求められるということなんだ。
 
 シビアな戦いが続く最終予選を勝ち抜くためにも、苦しい状況を打開できるセットプレーを大きな武器にすべきだろうし、勝点3を奪うための可能性をもっと模索する必要がある。
 

次ページ攻撃の切り札としてハーフナーの抜擢を考えてもいいはず。

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