【名古屋】降格の危機を救うため古巣へ舞い戻った闘莉王。再入団の決め手は…

2016年08月28日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「苦しんでいる仲間たちを見ていられなかった」

入団会見に臨んだ闘莉王。その口からは力強い言葉が出てきた。(C)SOCCER DIGEST

 8月26日に古巣・名古屋への再加入が内定していた闘莉王が、28日に会見を行なった。
 
 2日前に再来日した闘将はクラブに直行し、Jリーグ第2ステージ10節のFC東京戦を翌日に控えたチームメイトを鼓舞。FC東京戦には出場できなかったが、スタジアムで仲間たちの戦いを見守り、28日には練習に合流した。
 
 昨オフに名古屋を退団した後は、故郷のブラジルに戻り、自主トレーニングに励んできたという。そのため、コンディションには不安が残るが、「状態は100パーセントではないが、ある程度のところはできている。力になれるはず」と語る。
 
 チームはここ約4か月勝利から見離され、8月23日には小倉GM兼監督の休養を発表。ジュロヴスキー新体制での再スタートを切ったが、初陣のFC東京戦では試合終了間際に同点に追いつかれ引き分けた。残り7戦で、残留圏内の15位甲府と勝点7差。ハイペースで勝点を稼がなければ、J1生き残りは果たせない。
 
 そんな苦しい状況にも闘莉王は前向きな姿勢を崩さない。
 
「今まで35年間生きてきて、楽なことはなかった。来日した時から壁にぶつかって成長をして、少しでも良い人間になれるようにやってきた。今回も新しい壁ができたなと。みんなで力を合わせて少しでも先につなげる、新しいグランパスを作りたい。(リーグ優勝した)2010年のグランパスに戻せると思っているので、経験を活かして強いグランパスを作りたい」
 
 また、シーズン終盤での再加入の背景は次のように説明した。
 
「(名古屋の)結果は確認していました。遠くから愛するグランパスを見守っていました。チームが苦しんでいるなか、自分自身、厳しい悲しい想いでした。久米(一正)さんや、ボスコ(・シュロヴスキー)監督から電話をいただいて、家族の状況など大変ななか、なんとかできるなら行きますと。昨日(FC東京戦)も出たかったが、残り7試合で良いサッカーを見せられるようにやっていきたいです。
 
 誰もがこの厳しい状況を理解しています。ただ、やっぱり苦しんでいる仲間たちを見ていられなかった。何かしてあげたい。ただその気持ちだけでした」
 
 その点で、加入は急転直下に決まったという。
 
「久米さんから電話をいただき、こういう状況になりそうだと説明され、翌日には肉屋さんで買い物をしていたらボスコさんから準備をしてほしいと、あまりにも急すぎて家族と会話するのも怖かったです」
 
 第一子を身ごもっている奥さんとは「説得ができていないまま。今度子どもが生まれるので。いまだに怒っている、今日の朝も怒られた」と笑いながら話す。
 

次ページそのリーダーシップに期待したい。

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