「勝てないのは審判界の陰謀のためではない」停滞するマドリーにレジェンドOBが苦言「シャビ・アロンソに期待しすぎたのかもしれない」【現地発コラム】

2025年12月30日 エル・パイス紙

メディアはシャビ・アロンソを死んだも同然と報道

シャビ・アロンソ新体制で波に乗り切れないマドリー。(C)Getty Images

 12月15日にレアル・マドリーが開催したメディアを対象としたクリスマスパーティーは、フロレンティーノ・ペレス会長が怒りと対決の姿勢を表明するための舞台となった。

 ペレスが攻撃力を取り戻したわけではない。彼は常にそれを持ち合わせていた。しかし、ここにきてより多くの方向へ攻撃を仕掛けている。なぜなら、彼の政治的利益を支持していた者たちが、敵陣営に寝返ったためだ。

 敵の友人とは何者かはご存じの通りである。一方、敵が増えれば増えるほど孤独になるが、マドリディスタは心配する必要はない。多くの凡庸な人物に囲まれたペレスは、孤独ながらも、数の上では優勢だからだ。

 ネグレイラ事件(バルセロナによる審判買収疑惑)は、あまりにも多くの汚職と皮肉に満ちており、ペレスがそれをほとんど愛情を込めて片付けていたことに、周囲は長い間困惑していた。しかし、欧州スーパーリーグ構想において唯一の恋人であるバルセロナのジョアン・ラポルタ会長は、アレクサンデル・セフェリンとアル・ヘライフィに代表されるUEFAに抱擁し、ペレスは見捨てられた恋人のように、祭壇で待ち続けた。

 婚前離婚である。「自由な」クラブの代表であるラポルタは、ネグレイラ事件について裁判官の前で、いたずらっぽい笑顔を浮かべながら、量子力学ばりに難解な、それでいてとんでもない金額の審判報告書を「大したものではない」と切り捨てた。
 
 その後、ネグレイラに報酬が支払われている間、バルサを率いていたルイス・エンリケとエルネスト・バルベルデは、そのような報告書は一度も受け取ったことがないと発言したため、今では誰がそれを読んでいたのかが明らかになるのを待っている状況だ。その意味は?自由である以上、バルサもまたこのスキャンダルをおとぎ話に変える自由があるのだ。

 この新たな政治的力学と司法の兵器により、ペレスはネグレイラ事件を再燃させ、甘いクリスマスの真っ只中に"クラスター爆弾"を投下した。その爆弾はネグレイラを超え、審判組織全体に降りかかった。

 ペレスの発言は、彼が言ったこと、そして言わなかったことすべてが困惑させるものだった。なぜなら、ここ数週間、マドリーで消火すべき火は、フットボールに関するものだったからだ。メディアはシャビ・アロンソを死んだも同然と報じており、クリスマススピーチは指揮官に命を吹き返す良い機会だった。

 しかし、そうはならなかった。解釈は一つしかない。ペレスの沈黙が、シャビを集中治療室に留めているのだ。セビージャ戦を待ち、スーペルコパ・デ・エスパーニャを待ち、つまりはチームの次の敗北を待っているのだ。メディアはこの話題に大いに興奮している。ロドリゴとヴィニシウスだけが、シャビの必死の抵抗に抱擁という形で救いの手を差し伸べた。
 

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