20歳日本代表FWがついに得点ランク首位浮上! ベルギー席巻のSTVVは“追われる立場”から次なる“夢を叶えるフェーズ”へ【現地発】

2025年12月29日 中田徹

勝利に直結する守備――。エースストライカーであることの証明だ

STVVが誇る“七人の侍”。後列左から後藤、谷口、山本、小久保、松澤、前列左から畑、伊藤。ベルギーリーグ制覇へ突き進む!(C)STVV

 12月26日、ベルギーリーグのシント=トロイデン(STVV)は敵地でスタンダールを2対1で下し、3位という好成績で2025年を終えた。

 チームの全得点を叩き出したエースストライカー、後藤啓介は「いいボールが来たので、2点とも流し込むだけでした」とゴールシーンを振り返った。35分の同点弾は鮮やかなパスワークから、最後は右ポケットを突いたMFイリアス・セバウイからの折り返しを、63分の逆転弾は右SB畑大雅のクロスを、ともにニアで合わせたものだった。

「右膝を怪我している大雅くんが、練習で『クロスを上げられない』と言っていたので、ニアに来ると信じてました」

 これで後藤はプロミス・デイビッド(ユニオン・サン=ジロワーズ)、イェッペ・エレンビェレグ(ズルテ・ワレヘム)と8ゴールで並び、得点王ランキングトップに。次節は、得点王を意味する「黄金の牛」のワッペンを背中に付けてプレーすることになった。

 後藤は今、試合をこなすごとにポストプレーの安定感が増している。10節のメヘレン戦以降、後藤はアップの終わりに、腰にチューブを巻きながら、投げてもらったボールのトラップ・アンド・パスを繰り返してから試合に臨んでいる。それは、大きなDFの圧力を受けながらボールを扱うイメージ。彼が日本代表デビューを果たした11月14日のガーナ戦で見せた、ファーストタッチがまさにそうだった。
 
――アップの最後、チューブを使って体幹を鍛えていた。とても効率良い取り組みで、後藤選手がやろうとしていることのすべてが詰まっていると思う。

「その通りです。自分の足りないところを(補っている)。あのおかげなのか分からないですけれど、最近はキープ、ポストプレーができている。(この取り組みを)続けていきたいですね」(11月9日、スタンダール戦後の後藤)

 85分、畑のクロスがブロックされると、スタンダールが左サイドからカウンターを発動させた。すると後藤が70メートルの距離をスプリントして戻り、最後はスライディングでボールを奪い切った。

「俺は『もう交代させてくれ』とベンチに言ってた(交代のフェラーリの準備ができていた)ので、ラストプレーだと思って走りました。相手選手が中に入ってくるのが分かった。"3対1(の数的優位)"だったのでドリブルをミスすると思い、俺はボールを取りに行くというより、コースを切りに行きました。最後は予想通りに(ミスを突いて、ボールを取った)」

 ゴールを決めるだけではなく、勝利に直結する守備もまた、後藤がエースストライカーであることの証明である。

次ページ残り10節。悲願のプレーオフ1進出が現実味を帯びる

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