かつては毎年7万人超…開幕戦の観客数推移に見るミランのブランド力の高低

2016年08月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

十数年前は5万人超だったが…年間チケット購入者は1万人強。

ベルルスコーニのミランが黄金時代を迎えたのは、結果、顔ぶれ、試合内容にも強い拘りを見せたからだが、そのいずれも失った今、スタンドに閑古鳥が鳴くのは当然かもしれない。 (C) Getty Images

 先週末に2016-17シーズンのセリエAが開幕し、ミランはサン・シーロでトリノを3-2で破り、白星発進を切ることに成功した。オフ中は移籍確実といわれていたバッカのハットトリック、17歳のGKドンナルンマの好守に救われるという、薄氷の勝利だった。
 
 クラブの株式譲渡交渉が長引き、現時点で戦力補強も満足に行なえていないことで、その行く手が不安視されるミラン。それでもピッチ上では何とか結果を残したが、開幕戦にもかかわらず、スタンドの風景は寂しいものとなった。
 
 この試合、サン・シーロに詰めかけたのは32,254人。このスタジアムのキャパシティーは8万人ということで半分以下……当然ながら、かなり空席が目立つこととなった。
 
 3万人台の観客数が当たり前になったのは、2012-13シーズンから。クラブの財政難が深刻となり、毎シーズンのように主力選手を放出し続けたミランが、イブラヒモビッチ、T・シウバという攻守の大黒柱を放出したシーズンである。
 
 チーム力と観客動員数が比例するのは当然のことであり、ここ3シーズンは年々数字を落としているが、それ以上に問題なのは、年間チケット購入者の減少だ。
 
 トリノ戦に足を運んだ観客数のうち、年間チケット購入者はわずか1万292人であり、残りの2万1962人は一般のチケット購入者である。
 
 この先、ミランが勝利を重ねればこの数字も増えるかもしれないが(近年の年間平均観客数は3万5000人前後……)、それでも不安定な状況に変わりなく、クラブの財政にも大きな影響を与えている。
 
 2000年代の前半、年間チケット購入者は5万人強であり、2011年も3万人は超えていた。いかにミランが、急速にそのブランド力を落としているかが分かるだろう。
 
 混迷の極みにある名門が中国資本を得て、かつての魅力的な顔ぶれ、強さ、そして活気あるスタンドの光景を取り戻すのはいつになるだろうか。
 
 さて次に、少し視点を変えて、ベルルスコーニ・オーナーの下でミランの長き黄金時代に突入した1987-88シーズン(会長就任は86年2月)からのホーム開幕戦の観客数を振り返ってみよう。

次ページ90年代前半までの隆盛期にはカードに関係なく7万人以上!

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