“浦和のバッファロー”が渾身の爆走! 得点を決めた李忠成より目立ったが、「自分が情けない…」

2016年08月21日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「セカンドボールを必ずマイボールにする」。森脇がこぼれ球を拾い、敵陣をドリブルで攻略。クロスからゴールを演出する。

勝負どころを見逃さず“爆走”からゴールを生んだ森脇。しかし、両足が攣って途中交代になったことに、敗戦の責任を感じていた。(C)SOCCER DIGEST

 [J1第2ステージ9節] 浦和レッズ 1-2 川崎フロンターレ
8月20日/埼玉スタジアム2002


 浦和が川崎との首位攻防戦を1-2で落とし、再びステージ2位に、年間勝点も5差をつけられ、状況的には「前節を戦う前と、同じ勝点差に戻った」(ペトロヴィッチ監督)。
 
 試合は立ち上がりの15分に中村憲剛に先制点を与えてしまったものの、ホームチームがボールをしっかり回して主導権を握っていった。そして迎えた28分、浦和に起死回生の同点ゴールが決まった。
 
 突破口を切り開いたのは右ストッパーの46番、森脇良太だった。
 
 川崎が浦和と同じシステムにしてきたことで、森脇は中村と対峙。しかも、流動的にポジションを入れ替えて襲い掛かってくる大久保嘉人、小林悠にも対応しなければならない。彼はその難しい役割をこなすなか、反撃の糸口を探っていたと言う。
 
「目の前にいた相手が(中村)憲剛さんだったが、『なにもやらせない』という強い気持ちを持っていた」。そのなかで特に心がけていたのが、「セカンドボールを必ずマイボールにすること」だった。
 
 森脇がハーフウェイラインからロングフィードを前線に放つ。味方をフォローしようとそのまま前線まで駆け上がると、両チームの選手が空中戦で競り合ったボールが目の前にこぼれる。森脇は獲物に襲い掛かるように躊躇わず、そのボールを目がけて爆走する。
 
「狙っていた。良い感じでボールを奪うことができた」
 
 ボールを奪うとドリブルで持ち上がり、右サイドを完全に攻略してクロスを放つ。ボールはクリアしようとしたDFの足をかすめて渡った李忠成が押し込み、1-1に追い付いた。
 
 李がゴール裏で柏木陽介や高木俊幸と歓喜する一方、森脇は拳を突き上げてホームスタンドの前を駆け上がる。スタジアムの大型ビジョンも、ゴールを決めた李よりも、まず森脇を追い掛けて、雄叫びを挙げる表情がドアップで会場にも流れた。
 
 しかし――、74分に交代出場の森谷にゴールを叩き込まれ、森脇はその直後に「両足がつっていた。自分自身から交代を名乗り出た」と遠藤航と交代し、ベンチに退いた。

 森脇は首を捻って嘆いた。
 

次ページ試合の中で勝負どころや踏ん張りどころを見極め、チームを助ける。その一連のなかで、今回のゴールも生まれた。

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