【FC東京】3試合ぶりの“ウノゼロ”勝利に主将の森重真人は進歩を実感。「今日は皆が責任感を持って戦っていた」

2016年08月21日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「誰かに任せるんじゃなくて、みんなが思っていることをピッチで出しながら戦えた」

序盤から横浜の攻勢を受けながらも、最終ラインを統率した森重(3番)。随所で見られた冷静な対応は見事だった。写真:徳原隆元

[J1第2ステージ9節]FC東京1-0横浜/8月20日/味スタ

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 前節の神戸戦では4失点を喫して完敗したFC東京だったが、この試合では手堅い守備組織を構築し、3試合ぶりの完封で白星を手にした。
 
 立ち上がりは、横浜の鋭い出足に後手を踏み劣勢を強いられた。9分に、中盤で縦パスをインターセプトされた流れからマルティノスにファーストシュートを見舞われると、その5分後には、天野純にエリア内を突破されて、枠内シュートを許す。
 
 このピンチはGK秋元陽太のセーブでなんとか凌いだが、「守備で少し後手に回ったところは反省しなきゃいけない」と篠田監督が言うように、チーム全体の重心が後方に傾き、相手にリズムを乗らせてしまった部分は否めない。
 
 それでも森重真人を中心に要所を抑えると、前半終了間際に東のゴールで先制した後は、守備の強度が徐々に向上。後半も攻め込まれるシーンはあったが、最終ラインを崩された場面は「ゼロ」。前後半合わせて11本のシュートを浴びたとはいえ決定的なものはなく、守備陣が底力を見せつけて横浜をねじ伏せた。
 
 試合後、指揮官は「ボールホルダーへのファーストディフェンスが決まっていた」「クロスが入ったとしても、人を捕まえることはできていたし、危ないシーンもありましたけど、チームとして、ボランチのプレスバックも含めて守れていた」と、完封した要因を分析したが、キャプテンの森重は、別の観点からも神戸戦からの違いを分析する。
 
「今日は皆が責任感を持って、リーダーシップを持って戦っている選手がたくさんいましたし、『こうしたほうがいい、ああしたほうがいい』というのを声を出しながらできていた。誰かに任せるんじゃなくて、みんなが思っていることをピッチで出しながら戦えました」
 
 指揮官交代後、結果が伴い始めたチームにとっては、前節・神戸戦の敗戦はある意味"良薬"だったのかもしれない。不甲斐ない戦いぶりが危機感をより増長させ、チームとして一体感を生み出したとも言える。もっとも、森重は今の戦いぶりに満足しているわけでないのも確かだ。
 
「もっと改善点はありますし、しっかり守り切ったという手応えよりかは、もっとこうしたほうがよかったんじゃないかという意見のほうが、試合直後は多かった。この試合を見直して、どこをどうすれば良かったのかを見つけていきたい」
 
 この日の勝利で勝点3を積み上げたが、年間順位は前節までと変わらず12位。シーズン当初から、上位を目指して戦って来たチームにとって、今の成績は当然満足できるものではない。飽くなき向上心を持つ集団は、目の前の課題をひとつずつクリアしながら、できる限り上を目指していく。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
 
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