高すぎる理想は目の前の現実をあいまいにする
11月シリーズでガーナとボリビアに連勝を飾った日本。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)
FIFAランキングを18位と上げた日本は、「強豪」まであと一歩か。アジアではほとんど無敵。ブラジル、ガーナにも勝利した。
直近では、W杯南米予選7位で大陸間プレーオフに回ったボリビアを3-0と下し、跪かせた。
「前線からのプレッシャーの強度は過去の試合の分析で予測していましたが、序盤でペースをつかむことができませんでした。我々が若い選手の多かったのと、早々の失点によって迷いが生じてしまって。20分を過ぎてからは、ようやく試合をコントロールすることができましたが」
ボリビアのオスカル・ビジェガス監督がそう振り返ったように、開始4分の鎌田大地の得点は完全に崩されていたし、もっと点差がついてもおかしくなかった。
久保建英、鎌田の二人を筆頭に、日本の選手たちの技量は明らかにボリビアを上回っていた。何回対戦しても、負ける可能性は低い(ボリビアの首都ラパスの標高4000メートルのスタジアムでは別の話で、ブラジルもここでは敗れている)。それだけの実力差を示したと言える。
もう一つの輝かしい真価は、森保ジャパンの選手層の厚みだ。
後半、堂安律、中村敬斗、上田綺世、町野修斗などを次々に投入されているが、これによって反撃態勢に入っていたボリビアの息の根を止めている。堂安は右サイドでパワーを与えていたし、上田はストライカーとしての存在感は圧巻で、町野はゴールのポイントに入るうまさを見せていた。とりわけ、中村の動きは変幻自在で、ゴール近くで脅威を与えられる選手であることを高らかに示し、アシスト、ゴールと見事だった。
「我々がいくつかチャンスを作って、試合の主役になりつつあったところで、2点目、3点目を失点してしまいました」
ビジェガス監督の証言の通りだが、その流れをつかめるかどうかに強さの本質があるのだ。
直近では、W杯南米予選7位で大陸間プレーオフに回ったボリビアを3-0と下し、跪かせた。
「前線からのプレッシャーの強度は過去の試合の分析で予測していましたが、序盤でペースをつかむことができませんでした。我々が若い選手の多かったのと、早々の失点によって迷いが生じてしまって。20分を過ぎてからは、ようやく試合をコントロールすることができましたが」
ボリビアのオスカル・ビジェガス監督がそう振り返ったように、開始4分の鎌田大地の得点は完全に崩されていたし、もっと点差がついてもおかしくなかった。
久保建英、鎌田の二人を筆頭に、日本の選手たちの技量は明らかにボリビアを上回っていた。何回対戦しても、負ける可能性は低い(ボリビアの首都ラパスの標高4000メートルのスタジアムでは別の話で、ブラジルもここでは敗れている)。それだけの実力差を示したと言える。
もう一つの輝かしい真価は、森保ジャパンの選手層の厚みだ。
後半、堂安律、中村敬斗、上田綺世、町野修斗などを次々に投入されているが、これによって反撃態勢に入っていたボリビアの息の根を止めている。堂安は右サイドでパワーを与えていたし、上田はストライカーとしての存在感は圧巻で、町野はゴールのポイントに入るうまさを見せていた。とりわけ、中村の動きは変幻自在で、ゴール近くで脅威を与えられる選手であることを高らかに示し、アシスト、ゴールと見事だった。
「我々がいくつかチャンスを作って、試合の主役になりつつあったところで、2点目、3点目を失点してしまいました」
ビジェガス監督の証言の通りだが、その流れをつかめるかどうかに強さの本質があるのだ。
森保ジャパンは確実に強くなっているし、それだけのプレーをできる選手がいるのも間違いない。世界のどこと戦っても、引けは取らないだろう。
もっとも、「W杯優勝」という目標は楽観的過ぎるだろう。理想は現実の回転軸になるだけに、頭ごなしに否定するつもりはないが、高すぎる理想は目の前の現実をあいまいにする。これでは本大会で地に足のついた戦いができない。
率直に言って、日本は欧州王者スペインや世界王者アルゼンチンにはまだまだ力が劣り、過信は危険である。真の強豪に5試合連続で勝つのが、W杯優勝なのだ。
最近の森保ジャパンは、国内では連勝を続けるが、敵地ではメキシコに勝てず、アメリカには手も足も出ずに敗れていた。その現実から目を離すべきではないFIFAランキング18位は「ベスト8でも不思議はない」が、「グループステージ敗退でもおかしくはない」のだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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