U-17キャプテン村松秀司の縁をきっかけに芽生えたメキシコとの友情。同じ宿舎でお互いに激励。話題となった国際交流の舞台裏【現地発】

2025年11月17日 松尾祐希

食器などを率先して片付けている姿に感銘を受け...

チームの一体感は揺るぎないU-17日本代表。ラウンド16では北朝鮮と相まみえる。写真:佐藤博之

 カタールでU-17ワールドカップが幕を開けて約2週間。決勝トーナメントのラウンド32が終わり、大会は後半戦に入った。

 廣山望監督が率いるU-17日本代表は、グループステージでは2勝1分けの成績でB組を首位通過。ラウンド32で南アフリカに3-0で快勝し、3大会連続で16強進出を果たした。

 順調に勝ち進むなかで、チームの一体感は揺るぎない。ポルトガルとのグループステージ最終戦(2-1)で一発退場となったMF長南開史(柏)が3試合出場停止となると、チーム最年少のサイドアタッカーを支えるために誰もが動いた。

 自由時間で観光に出かけた際はエースのFW吉田湊海(鹿島ユース)が付き添い、同学年のMF和田武士(浦和ユース)も頻繁に声をかけたという。南アフリカ戦では試合前の集合写真を撮影する際、長南の7番のユニホームを掲げるシーンも印象的だった。

 一体感が育まれる要因で、同じ宿舎に滞在しているU-17メキシコ代表チームとの交流も1つのトピックだ。

 アメリカ人の父を持ち、英語に堪能なキャプテンのGK村松秀司(ロサンゼルスFC)がメキシコ代表の選手と親交があった。U-15アメリカ代表に選出された過去を持つ村松が引き合わせる形で、チーム同士の交流がスタート。日本代表の初戦前に宿舎を出発する時、メキシコ代表の選手たちからエールが送られ、そこから毎試合のように両チームの選手で行き帰りに激励をするようになった。

「メキシコ人の人懐っこさが引き出してくれているのはある」と廣山監督は話し、「我々も明るいグループなので、お互いに引き出されて。いろんなことが起きるなかで、それをパワーに変えられるのも選手たちの良さ」と頬を緩ませた。
 
 日本の選手たちもメキシコを心の底から応援している。南アフリカ戦の前日練習後に、CBメンディーサイモン友(流経大柏)が「今、アルゼンチンと戦っているメキシコの試合、見に行こうよ!」と冗談混じりに話すなど、その言葉からも深い友情が見て取れた。

 こうした関係性の構築は、今回から48か国参加となった副産物で、同じホテルのチームが増えた影響もある。日本の宿舎にグループステージ中は最大で10か国前後が宿泊。これもまた新たなU-17ワールドカップの形だろう。

 日本がメキシコに良い影響を与えた側面もある。日本の選手たちが食事会場で食器などを率先して片付けている姿に感銘を受け、メキシコの選手たちも同じように取り組む姿が見られるようになったという。異なる価値観に互いが触れることは、多感な若い選手たちにとっては貴重な機会になったはずだ。

 選手たちはメキシコと決勝で戦うことを1つの目標としており、吉田は「勝ってメキシコと戦うためには決勝しかない。決勝まで行ってメキシコとやりたい気持ちがある」と言い切った。

 なお、メキシコはラウンド32でアルゼンチンにPK戦の末に勝利。ラウンド16でポルトガルと対戦し、日本は北朝鮮と激突する。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

【動画】試合会場へ向かう日本の選手たち。同じホテルに宿泊するU-17メキシコ代表と、ホテルスタッフの皆さんがお見送り!

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