[本田泰人の眼]不変のキックモーション。だから敵は読めない。ガーナ戦で2点目を奪った堂安律。一流選手であることを証明した

2025年11月16日 本田泰人

これでは強化試合ではなく調整試合だ

ガーナ戦でチーム2点目をマークした堂安。そのキックモーションにこそ魅力が詰まっていた。写真:滝川敏之

 11月14日、FIFAランキングで19位の日本は、同73位のガーナとの国際親善試合で、2-0の快勝を収めた。

 試合はFIFAランキングどおり、日本のワンサイドゲームとなった。攻撃では上田綺世を起点にガーナの2倍もの14本のシュートを放ち、守備では強度の高いプレスを維持してガーナのビルドアップを封殺する。

 ゴールを奪った時間帯も良かった。16分、ハーフウェーライン付近で佐野海舟がボール奪取に絡み、ゴール前までドリブルで持ち運ぶ。佐野のラストパスから南野拓実が正確なシュートでネットを揺らす。日本の得意の形、ショートカウンターからの見事な先制点だった。

 その後も日本の勢いは止まらない。追加点こそ奪えなかったものの、久保建英、堂安律のコンビネーションから何度もチャンスを作り出した。

 2点目は60分、久保と堂安とのコンビから生まれた。久保のパスをボックス内右で受けた堂安が左足を振り抜き、ニアサイドに突き刺した。

 その後、日本は6枚の交代カードを切った。北野颯太、後藤啓介が代表デビューを飾るなか、危なげない試合運びで試合を終わらせた。
 
 もっとも、忘れてはいけないのは、対戦相手のガーナが今回はあまりにも弱すぎたことだ。

 モハメド・クドゥスやジョーダン・アユーなど、先月のワールドカップ・アフリカ予選に出場した主力数人が不在だったこともあるが、時差ぼけや長距離移動が影響し、コンディションが万全ではなかったのではないか。

 プレーのキレを欠いてしまったら、スピードとパワーに優れるアフリカ人選手の怖さは半減する。

 試合後、森保一監督は「個が強い相手が組織的に守備を固めてきた時に、どうやって崩すのか、ワールドカップへ良い準備になった」と話したが、果たして強化試合になったのか。

 確かに、立ち上がりからガーナは5バックで引いて守ってきたが、ゴール前に人数をかけているだけ。組織的守備にはほど遠いレベルだった。攻撃ももっと前に出てきてくれないと、練習相手にすらならない。

 来年からワールドカップ出場国は「32」から「48」に増えるため、いわゆる"格下"と対戦する可能性は十分に考えられる。その意味では格下との戦いのシミュレーションになったものの、これでは強化試合ではなく調整試合だ。
 

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