目論見通りの「先行逃げ切り」
森保ジャパンがガーナを2-0で下した。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)
[国際親善試合]日本 2-0 ガーナ/11月14日/豊田スタジアム
アフリカ勢との親善試合は、蓋を開けるまで何が飛び出すかわからない。それでも彼らが主戦場としている欧州開催なら質も担保出来るが、日本開催では誰がピッチに立つのか予測も難しい。
2009年に宮城で戦ったトーゴは、フル代表にはほど遠い陣容で日本が5-0で一蹴したが、逆に3年前には想像以上の質を備えたチュニジアに0-3で完敗し、ワールドカップへの出鼻をくじかれた。
そして今回来日したガーナは、明らかに前者のパターンだった。スタメンの中で、W杯大陸予選を主軸として戦って来たのは、アントワーヌ・セメニョただひとり。おそらく本大会でも、それは変わらないはずだ。要するにガーナは、W杯の足音が迫る大切な時期にサブ候補を帯同してきたので、当然ながら大観衆の前で日本のトレーニングマッチの引き立て役に回ることになった。
ただし森保一監督は、今回の連戦で歴史と潜在能力を尊重してガーナのほうが強豪と判断したようで、故障の鈴木彩艶と鎌田大地以外はブラジル戦と同じスタメンを送り込み、果敢な守備の効果を試した。
逆転勝ちしたブラジル戦も、前回W杯のドイツ戦も「選手たちが必要以上に相手の圧を感じてしまった」前半が誤算だったそうなので、ガーナ戦はとりわけDF陣の積極的な守備が目立った。
序盤から劣勢のガーナは、シャドーのカマルディーン・スレマナが自陣までボールを引き出しに戻れば、そのまま対峙する鈴木淳之介がピタリ追走してボールを奪取。セメニョが自陣ペナルティエリア近くまで降りてきても、渡辺剛がフルスプリントで追いかけた。こうした流れの中から、日本は敵陣で谷口彰悟の前がかりの守備に佐野海舟が鋭く反応。ショートカウンターから先制に成功する。取りあえず指揮官が掲げる「先行逃げ切り」の目論見が叶った。
アフリカ勢との親善試合は、蓋を開けるまで何が飛び出すかわからない。それでも彼らが主戦場としている欧州開催なら質も担保出来るが、日本開催では誰がピッチに立つのか予測も難しい。
2009年に宮城で戦ったトーゴは、フル代表にはほど遠い陣容で日本が5-0で一蹴したが、逆に3年前には想像以上の質を備えたチュニジアに0-3で完敗し、ワールドカップへの出鼻をくじかれた。
そして今回来日したガーナは、明らかに前者のパターンだった。スタメンの中で、W杯大陸予選を主軸として戦って来たのは、アントワーヌ・セメニョただひとり。おそらく本大会でも、それは変わらないはずだ。要するにガーナは、W杯の足音が迫る大切な時期にサブ候補を帯同してきたので、当然ながら大観衆の前で日本のトレーニングマッチの引き立て役に回ることになった。
ただし森保一監督は、今回の連戦で歴史と潜在能力を尊重してガーナのほうが強豪と判断したようで、故障の鈴木彩艶と鎌田大地以外はブラジル戦と同じスタメンを送り込み、果敢な守備の効果を試した。
逆転勝ちしたブラジル戦も、前回W杯のドイツ戦も「選手たちが必要以上に相手の圧を感じてしまった」前半が誤算だったそうなので、ガーナ戦はとりわけDF陣の積極的な守備が目立った。
序盤から劣勢のガーナは、シャドーのカマルディーン・スレマナが自陣までボールを引き出しに戻れば、そのまま対峙する鈴木淳之介がピタリ追走してボールを奪取。セメニョが自陣ペナルティエリア近くまで降りてきても、渡辺剛がフルスプリントで追いかけた。こうした流れの中から、日本は敵陣で谷口彰悟の前がかりの守備に佐野海舟が鋭く反応。ショートカウンターから先制に成功する。取りあえず指揮官が掲げる「先行逃げ切り」の目論見が叶った。
経験値で上回る日本がアグレッシブな守備を継続したことで、ガーナはビルドアップから苦戦を強いられる。ようやくボランチやWBにつけても再び下げるしか道が見当たらず、結局CB陣が裏狙いのロングボールを蹴らされる繰り返し。ただし日本もディフェンスラインの背後は、守護神の早川友基が広範なカバーリングで未然に対応し続けた。
前を向く機会を限定された若いガーナは、身体能力という武器をすっかり消された。頼みのセメニョは、開始早々には谷口との駆け引きに勝利して、ハイボールを頭でシャドーに繋ぎチャンスの道を切り拓いたが、その後は最前線で後ろ向きでボールを受ける役割に辟易したのか戦意喪失。途中からシャドーに回ってサイドに流れたが、才能の片鱗も見せることなく後半早々に下がった。
日本にとっては、W杯を前にいくつかの序列変更が確認できたのは朗報だ。
この積極果敢な守備には佐野の鋭い寄せや力強い奪取能力が不可欠で、完全にボランチのファーストチョイスに昇格した。佐野はマインツにとっても同じように重要なエンジンなので、言わばリバプールへ移籍前の遠藤航の状況に似ている。
あとは大過なく充実のシーズンを終えて、その勢いのままに本大会へと突っ走ることを祈るばかりだ。最終ラインでは、鈴木と渡辺がすっかり自信を味方につけている。鈴木はブラジル戦が源となり、渡辺のほうはフェイエノールトでの立場が支えになっているはずだ。
残念ながらこの時期まで来ると、長期離脱者が完全復帰を果たす希望的シナリオを描くのは難しい。そういう意味で、代謝した軸が定まりつつあるのは悪いことではない。
あとはチームに弾みをつけるラストピースの昇り龍を探す作業が残るが、そのためにもボリビア戦ではもう少し大胆な実験が必要かもしれない。
文●加部究(スポーツライター)
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前を向く機会を限定された若いガーナは、身体能力という武器をすっかり消された。頼みのセメニョは、開始早々には谷口との駆け引きに勝利して、ハイボールを頭でシャドーに繋ぎチャンスの道を切り拓いたが、その後は最前線で後ろ向きでボールを受ける役割に辟易したのか戦意喪失。途中からシャドーに回ってサイドに流れたが、才能の片鱗も見せることなく後半早々に下がった。
日本にとっては、W杯を前にいくつかの序列変更が確認できたのは朗報だ。
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あとは大過なく充実のシーズンを終えて、その勢いのままに本大会へと突っ走ることを祈るばかりだ。最終ラインでは、鈴木と渡辺がすっかり自信を味方につけている。鈴木はブラジル戦が源となり、渡辺のほうはフェイエノールトでの立場が支えになっているはずだ。
残念ながらこの時期まで来ると、長期離脱者が完全復帰を果たす希望的シナリオを描くのは難しい。そういう意味で、代謝した軸が定まりつつあるのは悪いことではない。
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