イカルディを公私で操るワンダ・ナラ夫人がナポリ会長と移籍交渉

2016年08月16日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

ナポリのデ・ラウレンティス会長と直接会って交渉している。

元々はマキシ・ロペス(トリノFW)の妻で、不倫の末にイカルディ(右)と再婚したワンダ・ナラ(左)。いまや代理人業務も担っている(C)Getty Images

 彼と彼女、そしてもうひとりの男。彼と彼女は結婚している。プライベートでも、そして仕事の上でもパートナー同士だ。
 
 そこに別の男が介在する余地などないようにも見える。しかし、最近の彼女はもうひとりの男と会っている。マウロ・イカルディの夫人であり代理人でもあるワンダ・ナラは、ツイッターやインスタグラム上でインテルに揺さぶりをかけるだけでなく、ナポリ会長のアウレリオ・デ・ラウレンティスと直接会って、夫の移籍についての交渉を行なっているのだ。
 
 イカルディ自身は「インテル以外のクラブには興味がない」と明言し、ネラッズーロへの忠誠を誓っている。
 
 しかし、ゴンサロ・イグアインをユベントスに奪われたナポリは、その後釜として、同じアルゼンチン人でプレースタイルも近いイカルディを強く欲しがっている。
 
 問題は、ワンダとナポリのプレッシャーを頑としてはねつけ、インテルが話し合いにすら応じようとしないことだ。イカルディはキャプテンであり、契約もあと3年間も残っている。インテルはそれを延長する用意すらあるが、選手サイドが主導権を握る形でその話を進めるつもりはない。それは移籍の可能性についても同様だ。
 
 これまでインテルに届いた唯一の正式オファーは、ナポリが提示した4800万ユーロ(約57億6000万円)+ボーナス200万ユーロ(約2億4000万円)というもの。しかし、8月31日の移籍市場閉幕までの日数が減っていくにつれて、イカルディの価格は吊り上がっていく。手放した時にその後釜を見つける難易度が、日増しに高まっていくからだ。
 
 その間にもワンダ・ナラは、ツイッターにこんな書き込みをしている。
 
「勇気ある者だけに」
 
 ナポリの話を聞こうともしないインテルを、臆病者扱いしているようにも取れるつぶやきだ。
 
 そして今度は、ミラノでインテル新監督のフランク・デブールに会い、夫とインテルの"結婚"は今後も続いていくのかどうか、その確証を得ようと探りを入れた。契約を延長するのであれば、両者が変わらぬ愛を育んでいけるかどうかが重要だからだ。
 
 プライベートでもビジネスでも、ワンダ・ナラはイカルディのすべてをコントロールしている。「イカルディのナポリ移籍」の鍵を握るのは、間違いなく彼女だ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
 
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