南野、久保、鎌田。主軸3人をベースにバリエーションを増やしたい。堂安、町野、北野、佐藤をどう組み合わせるか【日本代表】

2025年11月13日 元川悦子

マインツ戦の一撃を見れば誰もが認めるところ

堂安のフィニッシャーとしての能力は図抜けている。高い位置に据えた方が得点の確率は上がるはず。写真:鈴木颯太朗

 日本代表は11月シリーズで14日にガーナと、18日にボリビアと対戦する。10日から代表活動をスタートさせ、12日から非公開練習に突入。この日は別メニュー調整の鎌田大地(クリスタル・パレス)を除く25人でピッチ上での戦術確認を入念に行なった。

 今回の2連戦の相手を見ると、2026年北中米ワールドカップの出場権を獲得済みのガーナの方が、プレーオフ進出のボリビアよりもやや格上。となれば、ガーナ戦に主力級を数多く投入する形になるだろう。

 攻撃陣は今季オランダ1部で12試合出場13ゴールと絶好調の上田綺世(フェイエノールト)を最前線に据え、2列目には南野拓実(モナコ)と久保建英(レアル・ソシエダ)を配置する見通し。左右のウイングバックは中村敬斗(スタッド・ドゥ・ランス)と堂安律(フランクフルト)がベースだろう。ボランチでは10月シリーズを怪我で辞退したキャプテンの遠藤航(リバプール)が復帰。鎌田が欠場濃厚となったため、もう1枚は田中碧(リーズ)が有力だ。

 まさに現有戦力のベストと言える面々が揃うわけだが、攻撃のバリエーションが広げたいと思うなら、さらなる底上げが必要。特に2列目は最終予選で4ゴールの鎌田と3ゴールの南野、久保への依存傾向が強かったため、主軸3人をベースに多彩な陣容で戦えるメドをつけることが大事。そこが11月シリーズの1つのテーマになってきそうだ。

 最近の戦いを見ると、伊東純也(ヘンク)がシャドーでアクセントとしての重要な役割を担っていた。が、ご存じの通り、今回は怪我で不在。10月のパラグアイ戦で途中からシャドーに入った相馬勇紀(町田)も選外で、今回、前線のポジションで違いをもたらせそうなのは、堂安と町野修斗(ボルシアMG)ということになる。
 
 まず町野だが、「僕は1トップでも2トップでも周りに合わせられるのが1つ、特長でもあるかなと思っている。そこがオプションの1つになっているんだったら嬉しいですけど」と10日の練習後にコメント。複数の役割に前向きな姿勢を示している。

 堂安に関しては、パラグアイ戦で南野と組んでシャドーで先発。スタートからシャドーでプレーしたのは2024年6月のミャンマー戦以来だった。ただ、相手の強固な守備ブロックの前にゴールをこじ開けられず、不完全燃焼の印象だった。

「シャドーで出ている自分にとっては、相手が組織的に守ってきているなかで、やはり個で打開しないとなと思いながらも、なかなかそれができなかった。悔しさとイライラが募る試合でした」と本人も悔しさをにじませた。

 今回はボランチが5枚体制で、10月はボランチがメインだった鎌田をシャドーで重点的に使える環境が整ったと見られた。が、その鎌田が12日の全体練習を回避したことで、彼の起用は18日のボリビア戦に持ち越されそうだ。南野と久保を2試合連続でフル稼働というわけにはいかない。やはりこの11月2連戦は町野と堂安を有効活用しつつ、攻撃力アップを図るべきなのだ。

 特にガーナは驚異的なフィジカルと推進力、屈強な体躯を備えた相手。それを視野に入れて町野を2トップ気味に使い、前線のターゲットマンを2枚置く形で敵をかく乱するのも一案ではないか。本人も今季に赴いたボルシアMGでようやくゴールを挙げ、自信をつけている。今は絶好のタイミングと言っていいだろう。

 堂安のフィニッシャーとしての頭抜けた能力も、直近9日のマインツ戦の一撃を見れば誰もが認めるところ。DFを強引に切り裂いて左足で決め切れるのは、今の代表では彼か久保ぐらいだ。ガーナを相手に堂安が同じプレーを出せるとは限らないが、やはり傑出した得点能力を備えた背番号10を高い位置に据えた方が得点の確率は上がる。指揮官には堂安の凄みを活かすような策を見出してほしい。
 

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