【SBSカップ】「すごく良い経験になった」――高校ナンバーワンCB杉岡大暉が得た収穫と課題

2016年08月15日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「自信がついたし、課題が明確になった部分もあったので、すごく良い経験になった」(杉岡)

今大会で3試合にフル出場した杉岡(4番)。最終日のスロバキア戦では、体格で上回る相手にも堂々と渡り合うシーンも見せた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[SBSカップ第1試合]U-19日本代表0-1U-19スロバキア代表/8月14日/エコパ ※前後半40分ハーフ
 
「やっぱり、まだまだだなと思いましたね。裏への対応だったり、競り合いの対処の仕方も上手くいかなくて。ピンチも多かったし、GKに助けられた部分もあった」
 
 U-19スロバキア代表との一戦を振り返ったCB杉岡大暉(市立船橋高)の口からは、反省の言葉が漏れた。
 
 今回のSBSカップでは、高校レベルで全国屈指の実力を誇る6名の高校生を招集。果たして、彼らが代表レベルでどれだけのパフォーマンスを発揮できるのか――。そんなテストの意味合いも含まれた今大会で、CBとして全試合にフル出場した杉岡は、総じて見ればまずまずのプレーを披露した。
 
 もちろん、厳密に言えば課題もある。それは前述の言葉や「1対1の局面で抜かれないようにしたい」という本人の言葉からも明らかだ。それでも、球際での競り合い、空中戦での対応では安定感を覗かせるだけでなく、左利きのCBとして、正確なフィード、最終ラインからのビルドアップでも存在感を見せつけた。
 
 もっとも、本人にとって3試合を通じての出来は決して満足できるものではなかったようだ。
 
「組み立てのところでテンポだったり、リズムを作るっていうのは今回の役目でもあったので、もっとテンポよくできるようにならないと駄目だと思う」
「展開1試合に1、2本しか出せていないんで、もっと自信を持ってロングボールを出せていけるようにしたい」
 
 第1戦目のU-19コスタリカ戦後、「もっと自分の色を出していかないと厳しい」と指摘していたが、その後2試合でも満足できるほど出し切れていなかったようだ。
 
 では対照的に、収穫はなんだったのか。率直な質問を投げかけてみると、やはり常日頃接している環境とは違い、ワンランク上のレベルで戦えた部分が大きかったという。
 
「前に強くいくっていう部分で言うと、(相手を)潰せた部分もあったし、ラインコントロールのところもこのチームで学べたところ。そういうところはチームに持ち帰って成長につなげていきたい。結構自信がついた部分もあったし、課題が明確になった部分もあったので、すごく良い経験になったと思います」
 
 すでにCBには、高さのある町田浩樹(鹿島)、柏でレギュラーを張る中山雄太らが主力クラスに君臨するため、そこに割って入るのは決して簡単ではない。ただ、「可能性のある選手は何人かいた」(内山篤監督)との言葉を借りれば、杉岡にもチャンスの芽がないわけではない。
 
「今大会でのパフォーマンスを、次へつなぎたい」。そう語る高校ナンバーワンCBは、代表に定着できるか。10月のU-20ワールドカップアジア最終予選出場を目指し、まずは、8月下旬の欧州遠征へのメンバー入りを狙う。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
 
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