「タケに憤慨する者も多い」故障を抱える久保建英の“代表招集問題”にソシエダ番記者が苦言。パフォーマンスが低下し批判を浴びる悪循環「犠牲者だ」「信じられないのは…」【現地発】

2025年11月09日 ミケル・レカルデ

本来のレベルとは程遠い状況が続いた

日本代表の11月シリーズにも招集された久保。(C)Getty Images

 ワールドカップイヤーのシーズンは何かと騒動が起こるのはサッカー界の常だ。怪我人が発生すれば、その原因や処遇が議論の的になるし、所属クラブが莫大なサラリーを払っているにもかかわらず、4年1度の祭典に万全の状態で臨むために力をセーブする、あるいはそう見える選手が現れる。

 しかしシーズンがまだ4分の1しか経過していないのに、多くの試合が忌まわしいFIFAウイルスによって魅力を落としているのは、サッカー界が何か大きく間違った方向に進んでいることの証だ。最悪なのは、これが国際的な課題である上に、月に一度起こる代表の招集が国内でも深刻な問題となっていることだ。

 つい最近、スペイン代表のラミネ・ヤマルの負傷が大きな話題となった時、全国放送のラジオ番組で、レアル・マドリー番を担当する番記者が「例えば同じことがオジャルサバルに起こったら、どのように比較されるだろうか」と疑問を投げかけた。

 いや、すでにレアル・ソシエダも、酷似した被害に遭っていた。タケ・クボ(久保建英)だ。周知の通り、9月シリーズのメキシコ戦で、足首を強く捻挫したため69分に交代した。信じられないのは、スビエタ(ソシエダの練習場)で適切な治療を受けるために翌朝一番の飛行機に乗らなかった理由について、まだ誰も納得のいく説明をしていないことだ。タケはそのままチームに残り、9月シリーズ2つ目の対戦相手、アメリカに0-2で敗れるところを見守った後、帰還し、負傷していることが確認された。
 
 その9月と10月の代表ウィークの間にソシエダは、5試合を戦ったが、タケは怪我の影響で、本来のレベルとは程遠い状況が続いた。その2戦目のベティス戦では、試合前のテレビ中継で、医師が彼の負傷した足首に包帯を巻いている様子が2度も放映されたこともあった。

 にもかかわらず、スタメンで出場したマジョルカ戦を挟んだ翌々節のバルセロナ戦前にセルヒオ・フランシスコ監督は「タケの足首は大丈夫だ。はっきりさせておきたい。だから、タケのことを心配しないでほしい。足首は大丈夫で、明日の準備はできている」と驚きの発言をした。

 しかしそのバルサ戦、続くラージョ戦でいずれもスタメンから外れ、チームは連敗を喫した。タケは10月シリーズに招集され、回復していないまま、再び日本代表に合流した。彼の給料を支払っているソシエダは、何もできなかった。
 
 周知の通り、最初のパラグアイ戦に欠場した後、タケは続くブラジル戦に先発で出場した。試合前に監督が「90分間プレーできる状態ではない」と認めていたのに、「なぜ」という疑問はどうしても浮かんでくる。しかも悪いことに、ソシエダに帰還した後、練習で怪我を再発。ラ・リーガのセルタ戦とセビージャ戦、コパ・デル・レイ1回戦のネグレイラ戦の計3試合を欠場し、先週末のアスレティック・ビルバオ戦で復帰を果たした。

 チームの低迷も重なり、ファンの中には、チームで最も愛されている選手の1人であるタケに憤慨する者も多い。彼が「プレーできる状態ではない」「チームメイトを助けるためにはまず回復することが先決だ」と表明できないことを理解できないのだ。
 

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