レスター、不名誉記録樹立……欧州4大リーグの王者黒星発進の歴史

2016年08月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

消えることのない歴史をサッカー史に刻んだことへの苦い思い。

黒星発進にサポーターも頭を抱える。レスターはまだ1試合を終えただけだが、プレシーズンを通してカンテ(→チェルシー)の穴を埋め切れていない点は気になる。 (C) Getty Images

 2016-17シーズンのプレミアリーグ開幕戦でいきなり、王者レスターが昇格組のハルに敗れるという波乱が起こった。
 
 常に先行を許しての敗北に、ラニエリ監督は「チームとしてプレーできなかった」と反省の弁を述べ、レスターOBで元イングランド代表ストライカーのガリー・リネカーは自身のSNSで「プレミア史上初の開幕戦を落としたチャンピオン」と投稿している。
 
 昨シーズンは奇跡を起こしたチームは、新シーズンでいきなり不名誉な記録を作ってしまった。リネカーが言う通り、1992年のプレミアリーグ創設以来、優勝チームが翌シーズンの開幕戦で黒星を喫したことは、過去に一度もなかった。
 
◇プレミアリーグ歴代王者の翌シーズン開幕戦成績
2016-17 レスター ×1-2 ハル
2015-16 チェルシー △2-2 スウォンジー
2014-15 マンチェスター・C ○2-0 ニューカッスル
2013-14 マンチェスター・U ○4-1 スウォンジー
2012-13 マンチェスター・C 3-2 サウサンプトン
2011-12 マンチェスター・U ○2-1 WBA
2010-11 チェルシー ○6-0 WBA
2009-10 マンチェスター・U ○1-0 バーミンガム
2008-09 マンチェスター・U △1-1 ニューカッスル
2007-08 マンチェスター・U △0-0 レディング
2006-07 チェルシー ○3-0 マンチェスター・C
2005-06 チェルシー ○1-0 ウィガン
2004-05 アーセナル ○4-1 エバートン
2003-04 マンチェスター・U ○4-0 ボルトン
2002-03 アーセナル ○2-0 バーミンガム
2001-02 マンチェスター・U ○3-2 フルアム
2000-01 マンチェスター・U ○2-0 ニューカッスル
1999-00 マンチェスター・U △1-1 エバートン
1998-99 アーセナル ○2-1 ノッティンガム・F
1997-98 マンチェスター・U ○2-0 トッテナム
1996-97 マンチェスター・U ○3-0 ウィンブルドン
1995-96 ブラックバーン ○1-0 QPR
1994-95 マンチェスター・U ○2-0 QPR
1993-94 マンチェスター・U ○2-0 ノーリッジ
1992-93 リーズ※ ○2-1 ウィンブルドン
※フットボールリーグ最終シーズンの王者
 
 ちなみに、プレミアリーグ以前のフットボールリーグまで遡ると、1888年からリーグ最終年の92年までの長い歴史において、王者の黒星発進は18回あった。
 
 オフの調整や戦力補強がうまくいかなければ、王者といえども――むしろ、全てのチームからマークされる王者ゆえ、とも言える――苦戦するのは十分にあり得ることだが、それでも歴史を通して、彼らが敗れる確率は非常に低い。
 
 リーグ全体で見れば、38試合のなかの1試合であり、これで深刻になったり、前途を悲観したり必要は全くないが、消えることのない歴史をサッカー史に刻んでしまったことは、レスターに関係する全ての人にとって、苦い思いとして残るだろう。

次ページリーグ戦の1試合とはいえ、敗戦の衝撃と驚きの程は他と違う。

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