【仙台】プロ5年目で開花の兆し? 藤村慶太が歩む“なんでも屋”を超えるための道程

2016年08月14日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「(鎌田)次郎さんが選択するプレーはなんとなく分かっていた」

CKから先制点をお膳立てすると、その4分後にはインターセプトから2点目をアシスト。そのプレーぶりに渡邉監督も「逞しくなった」と目を細めた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J1・第2ステージ8節]仙台 4-2 柏 8月13日/ユアスタ
 
 15分にCKからハモン・ロペスのゴールをアシストした4分後だった。藤村慶太は、今は敵として対峙している鎌田次郎の縦パスをカットすると、そのままウイルソンへとボールを通した。その瞬間に、リードが2点になる予感を持っていた。
 
「昨年まで一緒に練習していたので、(鎌田)次郎さんが選択するプレーはなんとなく分かっていた。読み切って、いい形でパスカットすると、ウイルソンが空いているのが見えたので、良いパスを出せれば、彼なら1対1を制してくれる。そう信じていた」
 
 その期待にエースが応えないはずがない。詰めてきた中山雄太を右足のワンタッチで制すると、左足を一閃。放たれたシュートはGK桐畑和繁の手に触れられることなく、柏のゴールネットを揺らした。
 
 試合開始を告げる主審の笛がスタジアムに鳴り響いてから、たった19分後の出来事。藤村は、なにかを掴んだかのように、ブラジル人FWコンビにそれぞれアシストして、2-0というスコアを作ってみせた。
 
 プロ入り5年目。主戦場とするボランチで、なかなか出番は回ってこなかった。昨季までの出場試合数は5。それが、途中出場が多い(スタメンは5試合)とはいえ、今季だけですでに17試合でピッチに立っている。開花の時を迎えようとしているのか。
 
 もちろん、高い潜在能力を有していたことは前提としてある。それを踏まえたうえで、怪我人が多くて苦しい台所事情を助けるユーティリティ性、FWやサイドハーフ、SBと与えられたポジションでしっかりと結果を残し、しっかりアピールもしていた。
 
「今日の試合は持ち味である攻撃のアイデアや技術の高さを発揮して欲しくて、左サイドハーフに配置した。途中から左SBに回ってもらったが、前節・鹿島戦も同様に素晴らしい働きをしてくれた。後方であれだけボールを落ち着けてくれたことで、我々がリズムを取り戻した要因のひとつだと思う。逞しくなった」と、コーチ、そして監督と立場を変化させながらその成長を見守ってきた渡邉晋監督は試合後の監督会見で目を細めた。

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