調子が一向に安定しないブライトン。パスワークや守備強度がレベルダウン。何より不安なのは…【現地発】

2025年10月31日 田嶋コウスケ

「まるで首のない鶏のよう」

カラバオ杯でアーセナルに敗れて公式戦2連敗。ブライトンの調子がなかなか上向かない。(C)Getty Images

 三笘薫の所属するブライトンの調子が一向に安定しない。

 10月25日にプレミアリーグ第9節でマンチェスター・ユナイテッドに2-4で敗れると、その4日後に行なわれたカラバオカップ4回戦のアーセナル戦も0-2で完敗。いずれも良いところを出せないまま敗れ、公式戦2連敗を喫した。

 今シーズン、国内リーグの成績は、ここまで3勝3分け3分の勝点12で13位。昨シーズンの同時期は4勝4分け1敗の勝点16で6位につけており、今季は明らかに低調なスタートとなっている。

 パフォーマンスを見ても、パワーダウンの印象が拭えない。

 筆者は、三笘がレンタル移籍からブライトンに復帰した2022年から取材を続けているが、チームの完成度で言えば、今シーズンは間違いなく最低レベルにある。連係精度が低く、過去3シーズンに比べるとパスワークも劣化。守備強度も低下しており、攻守両方で課題は多い。

 何より不安なのは、チームとしてストロングポイントが見えてこないことだ。

 対戦相手に応じてアプローチを変える「カメレオン方式の戦術」がファビアン・ヒュルツェラー監督の特長だが、攻守両方でパフォーマンスレベルが低下していることから、全体的に中途半端な印象が拭えない。 その結果として、成績が安定しないのである。
 
 実際、マンチェスター・シティを2-1で撃破したかと思えば、次節のボーンマス戦は1-2で敗戦。相手選手の退場処分に救われたものの、チェルシーにも3-1で勝利した。しかし次節のウォルバーハンプトン戦で1-1の痛恨ドロー。強豪クラブから勝利を挙げても、次につながらないのが今季のブライトンだ。

 追い打ちをかけるように、選手たちのコンディションと調子が上向いてこない。

 FWジョルジニオ・リュテールは昨シーズンのキレがなく、存在感が著しく低下している。夏にマンチェスター・Uへの移籍が取り沙汰されたMFカルロス・バレバも、ここまで「心ここにあらず」といったプレーが目立つ。ヒュルツェラー監督は「フィットネスレベルが上がっていない」と説明しているが、前半だけでの交代も少なくなく、必ずしもフィジカル面だけの問題ではなさそうだ。 もともとノリの良い選手だけに、精神状態やモチベーションがプレーに直結してしまうタイプなのかもしれない。

 そんなバレバに対し、英BBC放送はブライトンファンの声として「まるで首のない鶏のよう」「マンチェスター・ユナイテッドの補強リストから落ちた」と、厳しい意見があることを紹介している。

 さらに言えば、主将のルイス・ダンクは高齢のせいかパフォーマンスレベルが落ち込んでおり、かつての安心感や力強さがなくなった。本職が守備的MFのマッツ・ヴィーファーも右SBでの出場が続いているが、守備で危うさばかりが目立ち、DFとして必要な堅牢さを欠いている。

 際立った活躍を見せているのは、崩しの切り札として機能しているヤンクバ・ミンテぐらいで、結果としてチーム全体に漂う停滞感につながっている。頼みの綱である三笘も怪我による欠場が続いており、ブライトンの状況は決して良好と言えない。
 

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